「第39回東京国際映画祭」のクロージングセレモニーが11月4日、ヒューリックホール東京で行われた。最高賞の東京グランプリ/東京都知事賞は、ミルチョ・マンチェフスキ監督の『妹兄(きょうだい)とマンホールの蓋』が選ばれた。日本映画からは、三島有紀子監督の『男ともだち』に出演した成田凌が最優秀男優賞を受賞。コンペティション部門初のアニメーション作品『魔法の星図』は審査員特別賞に選ばれ、同部門でアニメーション作品が初めて受賞した。
【画像】最優秀男優賞を受賞した成田凌の場面写真
グランプリに選ばれた『妹兄とマンホールの蓋』は、北マケドニア、ブルガリア、セルビア、アルバニア、イタリア、イギリスの共同製作作品。ロルフ・デ・ヒーア審査委員長は、ユーモアと悲劇、ドラマの融合や、登場人物に向けられた人間味あふれる温かなまなざしを評価。「感動的でありながら遊び心にも満ちた、複雑でありながら整合性のある作品」と講評した。
マンチェフスキ監督は動画でコメントを寄せ、「東京国際映画祭は、世界で一番好きな映画祭のひとつです」と喜びを伝えた。さらに、「この賞は実現しないかもしれなかった風変わりな映画へのささやかな名誉回復です」と語り、本作を「変わった家族の物語であり、持てる者と持たざる者の物語であり、メッセージではなく人間を描いた映画です」と紹介した。
最優秀男優賞に輝いた成田について、審査委員の渡辺真起子は、主人公の痛みを静かな友情をもって見つめ続ける役柄で、「その絶妙な距離感を、身体性を伴って表現されました」と評価した。
成田に代わって登壇した三島監督は、「この光景を成田凌さんに見せたいですね」と喜び、「成田さんは沈黙の中に、そして、身体性の中に、そして、言葉の裏に、感情を宿すことができる俳優さんです」とたたえた。
撮影では、雪が必要な日に降らず、三島監督が空を見上げて「雪降ってくんないかなあ」とつぶやいたことがあったという。すると、隣にいた成田も空に向かって「雪、降れ」と一言。その後、実際に雪が降ったと明かし、「彼はそういう映画を、そして現場を豊かにする力がある俳優さんだと思います」と振り返った。最後は「私たちは全員、あなたのことを心から誇りに思っています」と祝福した。
審査員特別賞の『魔法の星図』は、シンガポールのアニメーション作品。審査委員のオ・ジョンワンは、現実と幻想、歴史と神話が壮大なスケールで交錯する作品として、多彩な芸術技法や表現様式、創造性と映像美を評価した。スン・シュン監督は「なにせ、この作品の完成までに10年もかかりましたので」と長い道のりに触れ、「この経験を大切に、よりよい作品を生み出していきたいです」と語った。
このほか、最優秀監督賞は『ふたつの自由』のリサンドロ・アロンソ監督、最優秀女優賞は『ふたりを結ぶ夜』のフー・リンが受賞。『今日が終わるまで』が映像表現を評価されて最優秀芸術貢献賞に、テオドラ・アナ・ミハイ監督の『ヘイゼル85』が観客賞に選ばれた。
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映画祭は10月26日から日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催。久松猛朗フェスティバル・ディレクターの閉会宣言で、10日間の会期を締めくくった。
■「第39回東京国際映画祭」各賞受賞作品・受賞者
▼コンペティション部門
東京グランプリ/東京都知事賞:『妹兄とマンホールの蓋』(北マケドニア/ブルガリア/セルビア/アルバニア/イタリア/イギリス)
審査員特別賞:『魔法の星図』(シンガポール)
最優秀監督賞:リサンドロ・アロンソ監督(『ふたつの自由』、チリ/アルゼンチン/ルクセンブルク/ドイツ/イギリス)
最優秀女優賞:フー・リン(『ふたりを結ぶ夜』、フランス/香港)
最優秀男優賞:成田凌(『男ともだち』、日本)
最優秀芸術貢献賞:『今日が終わるまで』(セルビア/ブルガリア/スロベニア/モンテネグロ/クロアチア/ドイツ)
観客賞:『ヘイゼル85』(ベルギー/オランダ/ドイツ)
▼Nippon Cinema Now
作品賞:『シルバー・エクスプレス』(日本)
審査委員特別賞:『いえないふたり』(日本)
▼アジア学生映画コンファレンス
作品賞:『太陽の下を駆け抜けて』(ベトナム)
審査委員特別賞:『すべて順調』(シンガポール)
審査委員特別賞:『彼女のすべて』(韓国)
▼アジアの未来
作品賞:『シェリフェ』(スイス/トルコ)
スペシャルメンション:『12月のジャニ』(インドネシア)
▼東京国際映画祭 エシカル・フィルム賞
『夢から覚めることはそうない』(ドイツ/ウクライナ)
▼黒澤明賞
呉美保監督、モハマド・ラスロフ監督