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【RIZIN】榊原CEO、青木真也の引退試合に敬意 大みそかは「下克上」をテーマに追加カードを構想

■『abc presents RIZIN.55』(千葉・LaLa Arena TOKYO-BAY)

 全試合終了後、榊原信行CEOによる総括会見が行われ、メインイベントのフライ級タイトルマッチをはじめ、今大会で行われた熱戦や活躍した選手、さらに大みそかの『超RIZIN.6 師走の尾張名古屋下剋上祭り』(バンテリンドーム ナゴヤ)で行われる青木真也vs.桜庭大世などについて語った。

【動画】榊原CEO、豪快勝利の千春を称賛 弟・賢民の試合も「組みたい」

【榊原CEO】今大会は熱い試合が多く、まずは大みそかにどんなカード編成をして、今日生まれた熱やドラマをつなげていくか。大みそかまであまり時間がないので、この1週間ぐらいの中で、本日の結果を受けた形で残り数試合をマッチアップしたいと思っています。

本日、会場で青木真也選手の引退試合を発表させていただきました。対戦相手は桜庭大世選手です。すでにいろいろなところで書かれているように、桜庭和志自身は「引退」という言葉は口にしていません。しかし実質的には、今から11年前のRIZIN旗揚げ興行での青木真也戦で、青木選手が完膚なきまでに壮絶なパウンドアウトでTKO勝利を収めた試合が、桜庭和志氏のMMA引退試合として引導を渡す形になったのだと思います。

そこから10年という時が流れ、今度はその息子の桜庭大世が青木真也の介錯人を務める。これは本当に日本のMMAの歴史が紡いできた過去からのドラマであり、今回のマッチメイクが過去をリマインドさせる素晴らしい機会になればと思います。ここまでの日本のMMAの歴史を今の新しいファンにも振り返ってもらう、興味を持ってもらう機会になればと考えています。

明確に「引退試合」と銘打った試合は、RIZINの中でもいくつかありましたが、青木選手ほどのキャリアを積んできた男が、RIZINのリングでグローブを置く、引退するという決断をしてくれたことに心から敬意を表します。最高の形で彼のラストを描き出すお手伝いができたらと思っています。

その相手として、桜庭大世選手はうってつけではないでしょうか。彼も怪我からの復帰戦ではありますが、しっかりとその役目を果たすべく覚悟を決めてくれていますので、すごい試合が見られるのではないかと思います。

また、本日は非常にハングリーな選手たちが多い大会でした。マッチメイクをする中でも、今すぐにファンの人たちに届かなくても、今日の試合をもって次の大きな期待を生み出してくれるであろう選手たちをラインナップしたつもりで、自信満々で臨みました。我々の期待に違わぬ戦いを、勝者も敗者も繰り広げてくれたことに、全選手にまず感謝を伝えたいです。

神龍誠とトニー・ララミーのフライ級タイトル戦は、神龍にとって悲願のタイトル獲得から、防衛を果たせずにベルトを奪われる結果となりました。しかし、神龍もここで下を向いていても仕方ありません。今日リングサイドで見ていましたが、第三者目線で見ても、ララミーの方から「どうしてもこのベルトを手に入れたい」という強い思いが試合から伝わってきました。王者となってベルトを守る立場になると、挑戦者として立ち向かっていた時とは気持ちの部分で違うものが生まれるのでしょう。神龍は全体的に動きが固く、受けに回ってしまった印象がありました。神龍には再び挑戦者として、もう一度ベルトを奪い取るための修羅の道を歩んでほしいと思います。

そして井上直樹vs.イリスベク・ディレノフのバンタム級タイトル次期挑戦者決定戦。井上としては、できればダメージ少なく勝ち上がって、あわよくば大みそか、あるいは春先早々にダニー・サバテロとのタイトルマッチへ……という大きな野望があったと思います。

ディレノフについては、4月のマリンメッセ福岡でのサバテロvs後藤丈治の試合を見たシェイドラエフが怒り、「あんな試合はチャンピオンにふさわしくない。こいつは必ずサバテロに勝てるポテンシャルがあるからチャンスをくれ」と直訴したことがきっかけでした。まだRIZIN2戦目ではありますが、バンタム級でサバテロに敗れるまで王座を防衛してきた井上直樹に対し、判定とはいえ勝利を収めましたので、十分サバテロに挑戦するだけの実力がある選手だと証明したと思います。ドクターチェックで問題がなく、フィジカル的にも大丈夫であれば、本人もリング上で「やる」と宣言していますので、サバテロとのタイトルマッチを早々に確定させられたらと考えています。

ララミーに関しても同様です。伊藤裕樹選手ともやる気を持っていますが、本日はアドレナリンが出ている状態ですので、明日しっかりドクターチェックを受け、選手サイドとも最終確認を行った上で、早期に組むのか一旦先延ばしにするのか、早急に決定したいと思っています。

――鈴木博昭選手と対戦した千春選手の衝撃的なKO勝利と今後の展開、および弟・賢民選手のRIZIN参戦について。ファンから「朝倉兄弟の再来か」という声もあがっていますが、榊原CEOの印象はいかがでしょうか。

【榊原CEO】なかなかKOで負けることのない怪物くんをパウンドアウトしたというのは、一定の評価をするに値する見事な勝ち方だったと思います。千春選手の次戦に関しても、また早いタイミングで組んであげられたらいいなと考えています。弟の賢民選手に関しては、以前から千春選手からも推薦を受けていますし、本人もやりたいと言っています。怪我の回復状況もありますが、年明けの早いタイミングで賢民の試合もぜひRIZINでマッチアップしたいと思っています。

――鹿志村仁之介vs.太田忍戦は、トラッシュトークで大会を盛り上げつつ、試合も非常に白熱していました。前回のタイトルマッチで敗れた鹿志村選手が素晴らしい勝ち方をしましたが、榊原CEOとしては今後どういう展開を描いていますか。

【榊原CEO】一本で鹿志村が勝つのであれば、何か特別な技で決まるだろうと思っていましたが、今日決まった決まり手(エゼキエルチョーク)も、長く格闘技を見てきた僕でも「こんな技で決まるのかな」というような驚きがありました。すでにXでご丁寧に技の解説が上がっていましたが、まさに鹿志村選手の勝ちパターンだったと思います。

それ以上に、打撃におけるボクシング技術やセンスを鹿志村選手には強く感じました。総合格闘家として自身のウィークポイントもしっかり磨き、全体的にレベルアップしている印象を受けました。一足飛びにタイトルマッチとはいかないものの、トップコンテンダーたちとの試合に臨み、タイトルに向けて大きく駒を進める結果を今日導き出したのではないかと思います。

――熱戦の中で少し水を差す形となったメヘウラ選手の2戦連続計量失敗についてです。ただ、試合自体は非常に面白いものになりました。外国人選手の計量オーバーが続くなかで、相本宗輝も健闘しましたが、それぞれの感想をお聞かせください。

【榊原CEO】メヘウラ選手は強いですね。決して萩原京平のかませ犬として組んだわけではありませんでしたが、実力がしっかりある選手だということが今回ハッキリしました。話によると、UFCからもスクランブルでのオファーが来ていたり、関係者に話を聞いても「6勝4敗という戦績以上に強い選手だ」というリサーチが進んでいました。もちろん、体重をしっかり作ってこないという時点でプロとして全くダメなのですが、あれだけのパフォーマンスができる以上、ひょっとしたらライト級などに階級を上げた方が良いのではないかとも感じます。

このまま勝ち逃げさせるわけにはいきませんし、日本人選手が2連敗していることもあり、メヘウラを逆指名してくる日本人選手も出てくるかもしれません。本人サイドとしっかり話し合い、タイミングを見て再参戦を検討したいと考えています。

相本選手は初の外国人選手との対戦ということもあり、自分の思っている展開が全く作れなかったのだと思います。それくらいメヘウラが前に出てきましたし、どんなポジションになっても対応し、フィニッシュに向けたアグレッシブな攻撃を繰り出していました。言い方は悪いかもしれませんが、ここまで10戦無敗で来た中でのこの1敗は、相本選手をさらに強くするはずです。負けから学ぶこともたくさんありますので、今日の敗戦を糧にさらに強くなって、再び戻ってきてほしいですね。

――ライト級のヌルハン・ズマガジー選手とキム・ギョンピョ選手による見応えのある戦いがあり、ズマガジー選手がタップを奪って勝利しました。上位陣に食い込んでくるような勢いを感じさせましたが、手応えはいかがですか。

【榊原CEO】今日の戦いは本当に素晴らしかったですね。我々の事前予想ではギョンピョの方が有利なのではないかと考えていました。ズマガジーは1戦目こそすさまじいインパクトを残したものの、前戦はどこか不完全燃焼のような戦いだったため、本当の実力が見えきっていない部分がありました。しかし、やはり強いですね。実況解説席に座っていた堀江圭功選手も、素のトーンで「強い」と言っていたくらいですので、本当に本物だと思います。これからもトップ戦線にかき回す存在として絡んできてほしいです。

――第2試合では濱田巧選手と関原翔選手が激闘を見せました。濱田選手の今後についてのアピールもありましたが、継続参戦になるでしょうか。一方で、敗者となりインタビューに来られず頭部を固定されて搬送された関原選手の状況も心配ですが、その後の予定などを教えてください。

【榊原CEO】濱田選手に関して言えば、残り数秒という土壇場でフィニッシュできるというのは、何か持っている選手なのだと感じます。いずれにしても、我々としては濱田選手を出場させて正解だったと思っています。階級については本人も「フライでもバンタムでも」と言っていますが、フライ級でやるべきではないかと思っています。しっかり本人サイドと話をして、次戦を組ませてもらいたいです。

関原選手については、現在救急病院に搬送されて治療を受けている状態です。命に別状があるわけではありませんが、怪我の状態をしっかり把握した上で、どういう形で皆様にお伝えするか、状況がわかり次第後日ご案内させていただきます。

――神龍選手の敗戦により、RIZINに日本人王者がいなくなってしまったという現状があります。RIZINが世界的なフェデレーションへと発展してきた証拠でもありますが、榊原CEOはこの現状をどのように受け止められていますか。

【榊原CEO】日本発の「メイド・イン・ジャパン」として大会を主催しているプロモーターからすると、やはりちょっと寂しいというか、なんとか日本人選手に各階級で奮起してほしいというのが正直な思いです。ただ、ベルトを巻いている外国人選手たち、サバテロもそうですし、本日のララミーもそうですが、これまでの戦いを通じてRIZINファンや日本のファンにしっかりと浸透していますし、キャラクターも立っています。何より「RIZINとしてどんな戦いを見せたいか」を理解し、それを実行できる素晴らしい選手たちです。

彼らに挑む日本人選手の奮起に期待しつつ、外国人選手が王者だからこそ、今度は日本人選手が挑戦者として立ち向かっていく。日本のファンも「あの選手を挑戦させろ」と背中を押してくれるような、強い熱量を持った挑戦者が現れてくれることを期待したいと思っています。

――本日、青木選手の引退試合が発表され、タイトルマッチ2つ(フライ級・バンタム級)が決定すれば、大みそか大会は甲子園を含めて現在13試合となります。ここからさらにどんなカードを入れたいと考えていますか。いわゆる「飛び道具」的なものか、それとも次期挑戦者決定戦のようなカードでしょうか。

【榊原CEO】もうタイトルマッチは十分ではないでしょうか(笑)。ですので、RIZINらしい「飛び道具」も必要ですし、あとは「下克上」というテーマのもと、「そんな理不尽なカード編成があるのか」と思われるような「下克上マッチ」を組み込んでいきたいと考えています。「一体何試合組むつもりなんだ」と怒られそうですが(笑)、追加カードはあと2〜3試合で収めたいと考えています。

――タイトルマッチに関して言いますと、ルイス・グスタボvs.朝倉未来戦は、朝倉選手がタイトル戦を拒否していた件について、その後何か動きはありましたでしょうか。

【榊原CEO】まだ平行線のままです。そこに関しては、未来とももう少し落ち着いたところで話をしたいと思っています。ただ、王者のグスタボとしては「自分が戦う以上、負けたままでベルトを巻いて試合に出たくない。絶対勝つからタイトルマッチとして受けてくれ」と言い残してブラジルに帰っています。王者としての彼のプライドや感覚も理解できます。プロモーターとして、最終的に選手が望む望まざるにかかわらず、一つの決断(ディシジョン)を下さざるを得ない時が来るかもしれませんが、もう少し両選手とのすり合わせを重ねたいと考えています。