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“一匹狼”青木真也がミドルエイジ・クライシスの先に見つけた夢 DDT所属への背中を押した上野勇希の言葉【インタビュー後編】

 プロレス団体『DDT』と入団契約を結び、11月3日の『Ultimate Party 2026』(両国国技館)でのザック・セイバーJr.戦で所属第1戦を迎える、プロレスラー・青木真也。格闘技界で独特のスタンスを貫いてきたバカサバイバーは、なぜこのタイミングで所属選手となったのか、その思いに迫るロングインタビュー。自身のプロレスのルーツや憧れのプロレスラーについてじっくり語った前編に続き、後編では自身のフィニッシュホールド「エイオキクラッチ」誕生の背景や、所属を決意するきっかけとなった上野勇希の言葉、そして中年期に生じる「ミドルエイジ・クライシス」との向き合い方などを、包み隠さず語ってくれた。

【インタビュー動画】“一匹狼”青木真也がミドルエイジ・クライシスの先に見つけた夢 DDT所属への背中を押した上野勇希の言葉【インタビュー後編】

(インタビュー前編 https://www.oricon.co.jp/news/2489511/)

■「3カウント」に見出した自分だけの個性 エイオキクラッチ誕生の背景

 2018年からDDTに参戦した青木だったが、当初は多くのプロレスファンや関係者から「総合格闘家・青木真也による片手間の異物参戦」あるいは「昔ながらの格闘技スタイルをプロレスのリングに持ち込んでいるだけ」という先入観で見られることが少なくなかった。プロレスに真摯に向き合い、時間をかけて少しずつ自分らしさを築き、今や会場で大きな声援を受ける青木は、「今も僕のプロレスを見たことない人は、同じように思っているでしょうね。昔で言う“格闘プロレス”、裏アキレス腱固めみたいな一瞬の関節技で極める戦いをしてるって思うかもしれないけど、今の僕はフォール勝ちする選手ですからね」と自ら解説する。青木のフィニッシュホールドは、相手のバックを取りフルネルソンの状態から、グラウンドに引き込み丸め込んで3カウントを奪う「エイオキクラッチ」だ。

 「アクロバティックな技を持っている選手や、パワーがあって豪快な投げ技を使う選手はたくさんいるわけですよ。その中でどうやって自分の個性を出せるかって考えて、プロレスは相手の肩を3秒間マットにつけたら勝つっていうところに、活路を見出したんです。そこにこだわって表現しているやつは誰もいないじゃんって。だったら3カウントを奪う技術と表現に徹底的に注力すれば、自分だけの勝機と個性が生まれるんじゃないかって思ったんです」

 そんな発想から生まれた現在のスタイルと「エイオキクラッチ」だったが、すぐに自分のスタイルとして定着したわけではない。「なかなかしっくり来なくて、試行錯誤の繰り返し」の日々が続いたが、転機となったのは2024年8月の後楽園大会での上野勇希戦だった。「上野が7月の両国大会でベルトを防衛して『次は青木真也とやりたい』って指名してくれたんですよ。実際に戦いながら、彼が俺のことをすごく意識してくれて、すごく好きで、とても理解してくれているんだっていうのが、わかったんですよね。戦いの中で俺をすごく引き出してくれて、プロレスの解像度がグッと上がったんです」。

 その試合でベルトを獲得した青木は、HARASHIMAとの防衛戦などを経て自身のスタイルを確立させ、そして2024年度のプロレス大賞「技能賞」を受賞した。この快挙について、青木は「王座戦で対戦した上野勇希、HARASHIMA、勝俣瞬馬、クリス・ブルックスの4人と一緒に獲った賞だなって思いました。その頃からお客さんにも理解してもらえるようになったし、僕も『相手を上げないと自分も上がらない』みたいなことが理解できるようになりました。プロレスの面白さも一気に上がりましたね」と思い返した。

■「もう一歩プロレスで上に行こう」ミドルエイジ・クライシスの中で決めた新たな生き方

 これまでフリーランスとしてDDTのリングに上ってきた青木は、10月に「DDT所属」となることを発表した。格闘家としてジムに所属せず“一匹狼”として長年戦い続けてきた青木が、なぜ今のタイミングでDDT所属を選択したのか。その理由を尋ねると「2つあるんです」と説明してくれた。

 「1つは、もう一歩プロレスで上に行こうって考えたときに、所属が必要だと思ったから。今はフリー全盛の時代で、短期的な収入はフリーのほうが良いんです。でも、所属になることのメリットも絶対にあると思っていて、今後プロレスを続けていくうえで所属を選択しました。もう1つの理由は、(『超RIZIN.5』の)朝倉未来戦の直前に、セコンドについてくれた上野勇希が『青木さん、この試合が終わったらみんなで思いっきりプロレスやりましょうよ』って言ってくれて。自分も格闘技のキャリアが長くないってわかっているから、所属っていう生き方もありだなって思えたんです」

 さらに「もう1つ、付け加えると」と前置きし、「ミドルエイジ・クライシスです」と続けた。若いときにがむしゃらに頑張ってきた人が、40代の中年期となり肉体的な衰えや変化、キャリアの停滞や立場の変化、さらに近づいてくる死を意識することで、自身のアイデンティティやこれまでの生き方・価値観に強く疑問を抱き、情熱を維持できなくなり精神的な葛藤や不安に陥る現象である。誰もが経験できないような猛烈な20~30代を過ごしてきた青木は「ここ数年はそればっかり考えて『面白くねぇな』って感じてきて。格闘技をやめて解説やって適当にそれっぽいことを話すとか、できないことはないんだけど、わかるやつが見たらすぐにめくられるって思っちゃうんですよね」と客観的に分析する。

 プロの格闘家として常に俯瞰的に自分を見てきたからこそ、「消化試合みたいに時間を過ごしていくのは、自分のプライドが許さない」と青木は断言する。「数字を追いかけるマスコミが喜んで見出しにするような、尖った言葉を出すのは得意だからいくらでもできるけど(苦笑)、それをやるとミドルエイジ・クライシスのド真ん中に行っちゃうと思ったんだよね」。

■DDTの仲間と追う東京ドームの夢「あと5年、10年はエキサイティングに生きられそう」

 格闘家としてのキャリアの終盤を迎えるタイミングで、解像度が上がってきたプロレスに熱中できる。DDTに参戦した2018年には思い描いていなかった未来が、青木の目の前に広がってきた。「DDTの選手たちと、もう一度だけ夢を見てみようって気持ちがあるんですよ。上野がさ、『DDTで東京ドーム大会をやりたい』って言ってんだよ。俺からしたら、超RIZIN.5であんだけのカードを並べてやっと京セラドームが埋まるくらい大変なことなんだよって。でも、その夢に乗ってみようって思えるのは、なんか面白いよね。あと5年、10年はエキサイティングに生きられそうだなって」と、うれしそうな笑顔を見せた。

 DDT所属となった青木の記念すべき初戦は、11月3日のビッグイベント『Ultimate Party 2026』(両国国技館)のセミファイナルで行われる、ザック・セイバーJr.とのシングルマッチだ。新日本プロレスで活躍し、2024年にG1 CLIMAXで優勝し、同年にはIWGP世界ヘビー級のベルトを獲得するなど、紛れもなく日本プロレス界のトップに君臨するプロレスラーである。

 今年5月にタッグマッチで対戦している青木は「見た人たちからは『面白かった』って言われるんだけど、僕にとってはずっと主導権を握られてて動かされた試合だった。僕らで直接の勝ち負けはなかったんだけど『これは負けたな』と僕は思ってしまって。そんな相手と、両国のセミという舞台で対戦する。『技術戦で面白かったね』で終わらせない、インパクトだったり世に問う爪痕を残さなきゃいけないと思っています。ミドルエイジ・クライシスの脱却の仕方みたいなものを見せたい」と覚悟をにじませた。

 『超RIZIN.5』の朝倉未来戦で大きな注目を集めた青木真也が、プロレスのリングでどんな戦いを見せるのか。「格闘技の人ってプロレスをちょっとうがった見方をする人が多いけど、俺はそんなことはないし、プロレスをやればやるほどプロレスラーの怖さがすごくわかるんだよ。そういうことを自分のプロレスや格闘技を通じて表現していきたいし、格闘技もまだ多少できるうちにビシッとクローズする作業をやりきりたい。そうしたら『ちゃんとやれたな』って思える人生になるから。そこも合わせて、頑張りますよ。会場に来られる方は会場で、来られない方は(動画配信サービスの)『WRESTLE UNIVERSE』で試合を見てくれたらありがたいですよ。同じ日に名古屋でRIZINの会見があるみたいだけどさ(笑)」。朝倉未来戦で魂が熱くなった人や、久しぶりにプロレスを見たくなったミドルエイジは、11月3日に両国国技館に集結セヨ。

【大会情報】
青木真也のDDT所属第1戦!年間最大ビッグマッチでザック・セイバーJr.と対戦!
DDT『Ultimate Party 2026』
【日時】2026年11月3日(火・祝) 開場12:30 開始14:00
【会場】東京・両国国技館
チケット発売中。プロレス動画配信サービス『WRESTLE UNIVERSE』でライブ配信。
○KO-D無差別級選手権試合
<王者>MAO vs クリス・ブルックス<挑戦者>
※第89代王者6度目の防衛戦。
○ドラマティック・ドリームマッチ
ザック・セイバーJr. vs 青木真也
○スペシャル3WAYマッチ
KONOSUKE TAKESHITA vs 男色ディーノ vs 佐々木大輔
○DDT EXTREME選手権試合
<王者>勝俣瞬馬 vs 上野勇希<挑戦者>
※第65代王者3度目の防衛戦。
※ルール未定。
○飯野雄貴DDT所属ラストマッチ~スペシャルシングルマッチ
飯野雄貴 vs 納谷幸男
○KO-Dタッグ選手権試合
<王者組>正田壮史&高鹿佑也 vs 岡谷英樹&イルシオン<挑戦者組>
※第91代王者組2度目の防衛戦。
○スペシャルシングルマッチ
葛西純 vs 葛西陽向
○スペシャルタッグマッチ
To-y&武知海青 vs KANON&隈取 with KIMIHIRO&YUZUKI
○4WAYタッグマッチ
マンスール&メイソン・マッデン vs 高尾蒼馬&翔太 vs MJポー&デムース vs 宮脇純太&佐藤大地
○髙木三四郎&大鷲透&平田一喜 vs スーパー・ササダンゴ・マシン&アントーニオ本多&彰人
○秋山準&稲畑誠己 vs HARASHIMA&吉村直巳
○ダークマッチ
シーバム&夢虹 vs 松永智充&石田有輝