会場にいた1万2000人、そして配信で見ていたリスナーにとって、改めて“ナインティナイン”という存在の大きさを感じさせる4時間2分だった。お笑いコンビ・ナインティナイン(岡村隆史・矢部浩之)がパーソナリティーを務める、ニッポン放送『ナインティナインのオールナイトニッポン』(毎週木曜 深1:00)の番組イベント「ナインティナインのオールナイトニッポン歌謡祭」が25日、横浜アリーナで開催。矢部の番組卒業を目前に控えたタイミングでの実施となったが、多彩なゲストが続々と登場し、会場を沸かせた。
【写真たくさん】今年はコナ人間で開幕!「ナイナイ歌謡祭」の模様
■まさかの”コナ人間”スタート DA PUMP、秋山先生も会場沸かす
午後4時30分頃、おなじみの「燃えよドラゴン」が流れ始めると、“お約束”を理解している会場の観客たちは立ち上がって、キングブレードを光らせる。オープニングでは、矢部が白いタキシードで姿を現すと、復帰後の『ナイナイANN』序盤に“桑田ヤベスケ”としての歌唱コーナーが設けられるほど、大ファンであるサザンオールスターズ「いとしのエリー」を歌い上げていった。そして、一番気持ちいい歌唱パートに差し掛かったところで、岡村扮する「コナ人間」の映像演出に。ちなみに「コナ人間」とは、岡村がドラマ『名探偵のままでいて。』の撮影時、メイクさんから頭頂部に“粉”を振ってもらったとのエピソードがきっかけとなり、リスナーから「コナ人間の岡村さん」と呼称されたことに由来。その語感の良さに、度々“コナ人間”が話題になっていた。
リスナーにとってもおなじみの“コナ人間”岡村が、自身をあざ笑った“復讐”を果たそうと奇妙な動きで追いかけてくる中、矢部は電話ボックスに逃げ込む。なんとか難を逃れたかに見えた矢部だったが、岡村による“合図”で、電話ボックスが一気に“黒い粉まみれ”。自身も粉まみれになった矢部は、なんとか誤解を解くことに成功したものの、電話ボックスの中に入ったまま、「いとしのエリー」を歌い上げるという、いつもとひと味違った幕開けとなった。
コナ人間の衝撃も会場を包み込む中、トップバッターとして登場したのは“歌謡祭の常連” DA PUMP。「Feelin' Good -It's PARADISE」「ごきげんだぜっ!~Nothing But Something~」を歌い上げ、冒頭から会場のテンションも上がっていく中、最後は「U.S.A.」。観客からも「USA」コールが飛び出すなど、大盛り上がりの中、岡村が登場すると、さらに歓声が上がった。ダンスコラボも成功を収め、パフォーマンス後のトークでは矢部が「U.S.A.はやっぱり爆発力がある」と興奮気味で振り返っていた。
続いて登場したのは、9年連続出演となる“カリスマボイストレーナー”ロバート・秋山竜次。おむつにベビーニット帽という赤ちゃん姿で現れると「ごきげんよう、りゅうくん。」を歌唱。曲中には、会場に「あやしてください」と無茶な要求を繰り出していたが、歌唱後のトークでは「いよいよ、曲も底をつきました!これを横浜アリーナでやっていいのか、迷ったんです」と葛藤を打ち明ける一幕もあった。続けて、公共施設の管轄に対する疑問を歌った「TOKAKUKA」を披露。「都!」「区!」「国!」「県!」「市!」とのコール&レスポンスも行うなど“秋山ワールド”全開だった。
ところが、ナイナイの2人が現れると、自体は一変。毎年恒例の秋山が即興でメロディに歌詞をつける「カリスマボイストレーナー企画」では、今年も無茶ぶりがさく裂した。「現在大ヒット中のドラマ『VIVANT』のメインテーマの歌詞を忘れてしまいました」との“FAX”が届くと、秋山は大汗を流しながら必死に対応。続く「『踊る大捜査線』のテーマ『Rhythm And Police』にも歌詞があると聞きました」という“FAX”が届き、さらには『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』オープニングの歌詞を編み出していった。続けて、歌謡祭“常連”の高須クリニック・高須克弥氏は、今年も元気に登場。ステージでは、清水久嗣アナウンサーの実況で、ナイナイによる“タイピング対決”が実現した。
続けて登場したのは、原口あきまさ。郷ひろみの「2億4千万の瞳 エキゾチック・ジャパン」に乗せて、石橋貴明や木梨憲武、加藤浩次、東野幸治、さまぁ~ずの三村マサカズらのモノマネを次々と披露し、笑いを誘った。さらに“ショートネタ”を挟んで、F1マシンが目の前を走り抜ける音を芸能人のものまねで再現するネタも披露し、笑いを誘った。親交の深い矢部とのトークでは、矢部の『ナイナイANN』卒業後も“歌謡祭”への出演を狙う原口が痛恨のミスを犯す一幕もあり、見どころ満載だった。
その後は、ナイナイパートへと突入。まずは岡村がトロッコに乗って登場し、SMAPの「SHAKE」を歌いながら会場を周回し、リスナーの歓声に応えていったが、センターステージではキレキレのダンスも披露した。次の曲の準備中には、スタッフから頭頂部に黒い粉を振りかけてもらう“ファンサービス”も見せた岡村だったが、おもむろにギターが運ばれてくると、会場からも歓声が。スピッツの「チェリー」を、サプライズでの弾き語りに挑んだ。昨年の歌謡祭では同曲の替え歌を披露したが、音程キーを間違えてしまったことから、今年はリベンジを決意。「本当に初心者で聴き苦しいと思うけど、頑張ったので聴いてほしいと思います」と呼びかけ、緊張した面持ちで演奏していったが、見事に最後まで弾き終え、会場からは温かな拍手が沸き起こった。矢部の『ナイナイANN』卒業ということも相まって、「チェリー」の歌いだしの歌詞にも思いを馳せる中、矢部パートへと突入した。
矢部は、松浦亜弥の「Yeah!めっちゃホリディ」を披露。黄色いアイドル風の衣装に身を包み、トロッコに乗って会場を周回しながら、あややならぬ“やべべ”として「やべべだよ!」と笑顔を振りまいて、リスナーを沸かせた。その後、見覚えのあるロングコートに着替えた矢部が登場すると、何かを察した会場からは歓声が。その期待通り、矢部のデビュー曲「スタンドバイミー」を披露する流れとなったが、今回は岡村も加わり、同曲では初となる“デュエット”が実現した。スクリーンには『ANN』での2人の思い出の写真が次々と映し出され、会場は感動的な雰囲気に包まれた。
そんな中、2人がおもむろに黒の革ジャンを羽織ると、これまで「ナイナイ歌謡祭」のオープニングを飾ってきた反町隆史の「POISON~言いたい事も言えないこんな世の中は~」を熱唱。会場からも「POISON」コールが飛び交う展開となった。矢部が『ナイナイANN』に戻ってきてから初めての歌謡祭で、最初に2人で歌った「POISON」で、2人でのパート締めくくる粋な演出となった。
まだまだ「ナイナイ歌謡祭」は終わらない。ここで、岡村の合図でビビる大木が“レジェンドレスター”ジャンボ鶴田に扮してサプライズ出演。5月のラジオ出演時には、音声だけにもかかわらず、ジャンボ鶴田の入場シーンを4回も再現した大木だが、たったそれだけのきっかけで今回の出演につながった。観客との「オー!」も決まり、ステージに上がった大木だったが、大好きなジョン万次郎について話し始めた途端、矢部から「メインステージの転換が完了したようです!すみやかにご退場お願いします!」と告げられ、ほとんど語れないまま退場となった。
■清水ミチコ、藤井フミヤが圧巻のパフォーマンス 矢部が”のどちんこ飛ばす”「HOWEVER」→「涙のリクエスト」で大団円
そして登場したのは、“ものまねの女王”清水ミチコ。会場の拍手とともに登場した清水は「ありがとうリスナー!きょうは紅一点ということで、紅しょうがカラーで来ました。『ベニー』って呼んでください」と笑いを交えてあいさつ。その後は「さっちゃん」をいろんな人で歌うネタや、童謡ものまねシリーズ、日常生活で必ずといっていいほど聴いたことがある”音楽”と坂本龍一さんとの関係、お菓子メーカーの傾向をユーモラスに楽曲したネタを披露する見事なパフォーマンスで、会場を魅了していた。
豪華ゲストの大トリを飾ったのは、ナイナイにとって“青春のアイドル”である藤井フミヤ。「こんばんは!あいさつがてら歌います」と切り出すと「TRUE LOVE」「Another Orion」と名曲を立て続けに披露し、圧倒的な歌声で魅せていった。MCでは、会場を見渡しながら「この会場を埋めるのは、アーティストでも難しい。いいな~ナイナイ(笑)」と呼びかけつつ「なつかしい歌をやります」とすると、チェッカーズ時代のヒット曲「ジュリアに傷心」「NANA」を歌い上げた。ナイナイの2人も「かっこよかった」「鳥肌立ちました」「学生時代に戻りました」としみじみと口にしていた。
エンディングでは、出演者が再びステージに集結。岡村が「しばらく歌っていなかったですけど、『ナインティナインのオールナイトニッポン』伝説の歌で締めましょう!」と切り出すと、矢部も「これが歌い納めになるかもと思っています」とコメント。「今回こそは、のどちんこ飛んでいくかもしれません」と笑わせながら、渾身のGLAY「HOWEVER」を熱唱した。矢部の安定した“不安定な音程”の歌唱に心地よさと、これが歌謡祭で二度と聴けなくなるかもしれないというさみしさを感じる中「これだけの人たちに来ていただいて、これで終われない」と、全員でチェッカーズの名曲「涙のリクエスト」を披露。出演者とリスナーによる大合唱で大団円となった。
出演者がステージを後にすると、最後はナイナイ2人でトーク。矢部は豪華出演者たちのパフォーマンスを振り返り「ジャンルは違えど、頑張らなきゃいけない気持ちになりました」と気持ちを新たに。さらに、12月からスタートする自身の新番組についても触れ「未定のことが多くて、タイトルも決まっていない」としつつ、「最後の日に発表できることがいくつかあると思います。よかったら聴いてください」と呼びかけた。岡村も「『ナインティナイン岡村隆史のオールナイトニッポン』もリスタートということで、そちらもまた聴いてくれたらと思います」「どちらの番組も聴いてください」と、今後への思いを語った。
最後は「帰るまでが歌謡祭です」「今年も盛り上げてくれて、本当にありがとうございました」とリスナーに感謝を伝え、おなじみの「わーわーいうております!」「お時間です!」に続く、1万2000人の「さようなら!」のかけ声でフィナーレを迎えた。スクリーンには、1994年の番組開始当初からの思い出の写真が次々と映し出され、若かりし頃のナインティナインの姿も。長年にわたり、リスナーとともに歩んできた番組の歴史を感じさせる演出で幕を閉じた。
表立って、矢部の卒業に関する企画は行われなかったものの、選曲や演出などで、矢部の卒業を観客や配信で見ているリスナーが感じ取る内容になっていた今回の歌謡祭。「涙のリクエスト」大合唱後、矢部が「『涙のリクエスト』バッチリですね。これは盛り上がりますよ。グッときました。ちょっとリンクしている感じで、危なかったです」と口にしていたが、同じ気持ちを抱えた人も多かっただろう。さみしさを挙げたらキリがないが、清水がものまねを披露していた山田邦子がかつて、やまだかつてないWinkとして披露していた楽曲よろしく「さよならだけどさよならじゃない」。これからもナインティナインは終わらない。
見逃し配信の視聴期間は、終演後から11月1日まで(※配信視聴券の販売は、11月1日午後7時まで)となる。