2026年の夏は異例の気候となり、9月以降も残暑と急な冷え込みが交錯。急な暑さ対策に加え、流行中のインフルエンザなどによる発熱への備えも欠かせない。その両方で重宝するのが、手軽な冷却ジェルシートだ。しかし使用法については未だ“誤解”もあり、SNS等ではよく話題に上る。ウワサの真相や正しい活用法について、『熱さまシート』を展開する小林製薬に聞いた。
【画像】この夏めちゃ売れ!「冷凍庫用」の熱さまシートって?
■異例の気候で売上も乱高下、前年比141%に拡大した商品も
東日本、西日本で大きな気温差が生じるなど、異例の気候となった2026年の夏。冷却ジェルシートなど暑さ対策グッズを提供する小林製薬でも、商品の売上に大きな影響を受けたという。
「6月が涼しかったこともあって売上は若干伸び悩みましたが、7月に入ると概ね例年通りに盛り返してきました」(『熱さまシート』担当・原田祐里さん)
「関東や東北、北海道では例年よりも平均気温が下がっていたので、『シャツクール』など暑さ対策系の商品の売上は、やはり西日本の方が高かったですね」(熱中対策商品担当・斉藤翔子さん)
ただ、近年は猛暑の長期化・深刻化が続いており、ここ数年で見ると「市場全体として暑さ対策商品は拡大傾向にある」(斉藤さん)とのこと。特にこの夏需要が大きく伸びたアイテムとしては、『冷凍庫用 熱さまシートストロング』を挙げる。
「昨年頃からお客様の間で“暑さ対策”としての価値が高まってきました。店頭に並ぶ数が増えたこともあり、売上は7月消化として前年比141%にもなりました」(原田さん)
日本気象協会の予測では、9月半ばころまで厳しい残暑が続き、同時に朝晩の寒暖差も激しくなる。「急な暑さ対策」と「寒暖差や感染症による発熱対策」の両方に備えるためにも、冷却シートを手元に置いておくと安心かもしれない。
■おなじみの『熱さまシート』、SNSの噂の真相は?
このように暑さ対策としても活躍する『熱さまシート』だが、SNS等では「深部の体温を下げるわけではないので、熱中症対策にはならない」といった言説もよく見られる。猛暑の中、子どものおでこに冷却ジェルシートを貼り、対策をしたつもりになっている親への注意喚起だ。
「それは正しい認識です。パッケージの注釈にも書かれているように、『熱さまシート』はあくまで肌の表面温度を下げるもので、熱中症の治療や予防までカバーできるものではありません。『これを貼っておけば熱中症対策はOK』と安心するのではなく、正しい対策をしていただきたいと思います」(原田さん)
では、熱中症の特効薬ではないという前提を踏まえた上で、『熱さまシート』の真の価値はどこにあるのだろうか。
「たっぷり含まれたジェルの水分が8時間かけてじわじわ蒸発し、皮膚の表面温度を2度下げ続けます。暑さ対策として使われる方にとっては、表面の熱を奪うことによる“心地良さ”や“リフレッシュ感”をサポートできる点が最大の価値だと思っています」(原田さん)
そもそも、私たちが混同しがちな「冷却グッズ」と「冷感グッズ」には明確な違いがある。正しくは、「物理的に肌の熱を奪うものを『冷却』、メントール成分などで脳に冷たいと錯覚させ爽快感を与えるものを『冷感』と定義されている」とのこと。
それぞれの利点を生かし、日常のシーンに応じた使い分けもできる。
「暑さ対策なら、首の後ろや脇の下など、太い血管が通る場所に貼るとより冷たさを感じやすいです。ただ、激しく動くと剥がれやすいため、屋外で身体を動かされる際の使用はおすすめしにくいです。通勤時は『シャツクール』(冷感)で暑さを軽減し、会社に着いたら見えない首の後ろに『熱さまシート』(冷却)を貼るなど、使い分けるのがおすすめです」(原田さん)
さらに、冷却効果を爆増させる驚きの“神コンボ”も存在する。
「『熱さまシート』の白い側(不織布面)に、10年以上前からある古株商品『タオルに氷をつくるスプレー』(冷却)を吹き付けると、本物の氷がジェルを強烈に冷やし続けます。帰宅時や運動後など“一気に冷やしたい”時におすすめです。また、『冷やしタオル』と『タオルに氷をつくるスプレー』を合わせれば、ひんやり気持ちよくご使用いただけます」(斉藤さん)
■インフルエンザ流行中、急な発熱時の活用でも「熱が下がる」は誤解
こうした暑さ対策としての活用が広がる一方で、これからの季節はやはり、急な冷え込みによる体調不良にも備えておきたい。実際、『熱さまシート』の需要には、大きく分けて「夏の暑さによる不調対策」と「冬の発熱対策」の2つの山場があるそうだ。秋冬シーズンは、インフルエンザ等の感染症の流行状況と売上がもろに相関するという。
「急な発熱でドラッグストアまで『熱さまシート』を買いに行けない時には、コンビニへ小容量タイプを買いに走るという方も多いですね。ただ、メーカーとしては『熱が下がる』『病気が治る』という誤解を与えないよう、発信には非常に気を使っています」(原田さん)
病気を治す特効薬ではないものの、昔ながらの“氷のう”のように、高熱で苦しい夜を一晩乗り切るための「心地よさ」としては絶大な信頼を集めている。
「お客様からも『インフルエンザで高熱の時に冷凍庫用の熱さまシートを使った。ひんやりとした気持ちよさで、発熱でしんどいなかでも安心を感じることができた』といったお声をたくさんいただいています。1箱16枚や12枚入りですが、2枚ずつ小分けになっているため、スマホと同じような感覚で常にカバンに入れて持ち歩いている方もいらっしゃいます。夏の酷暑化や感染症の流行など、季節ごとの不安がある中で『持っているだけで安心できる』という“お守り”のような存在になっていけたらうれしいですね」(原田さん)
猛暑のダメージを引きずる秋口のホテリ対策から、インフルエンザ等の発熱時の不快感軽減まで。正しい知識と使い方を知っていれば、冷却ジェルシートは1年中、私たちの強い味方になってくれそうだ。
(文:水野幸則)