9月10日に京セラドーム大阪で開催された『ANGEL CHAMPAGNE presents 超RIZIN.5 浪速の超復活祭り』で、2年2ヶ月ぶりの復帰戦で強豪のカルシャガ・ダウトベックと対戦し、見事に判定で勝利した“令和の黒きカリスマ”平本蓮。勝利の裏には、過酷な減量、満身創痍のコンディション、そして仲間の支えがあった。
【動画】平本蓮『超RIZIN.5』ダウトベック戦後の最速インタビュー!
試合直後からSNSで多方面に言葉の機関銃を発射しまくっている平本に、オリコンニュースが試合後の最速インタビュー。前編では、復帰戦までの道のり、ダウトベック戦の攻防、同じ控室で過ごした青木真也へのリスペクトを語る。
■朝倉未来戦超えの肉体で復活 過酷な水抜きで「初めて30秒くらい失神」
――復帰戦の勝利、おめでとうございました!
【平本】ありがとうございます!もう2年以上も試合をしてなくて、早くRIZINの宣材写真を変えたいんですよね。まだ筋トレしてなかった時期の写真で、いまだに「ステステ」言われるんで(笑)。細いときの写真なんだから、ナメんなよって感じですけど。
――4月の会見での宣言通り、パンパンにして戻ってこられましたね(笑)。
【平本】なんなら前回の朝倉未来戦よりパンパンでした(笑)。今回は筋肉量をだいぶ残した分、水抜きの幅が大きくて大変だったんですけど、当日の調子がぜんぜん違って、めちゃくちゃ良かったです。
――水抜き中に意識が飛ぶような場面もあったとか?
【平本】初めて30秒くらい失神しました。K-1時代は減量法に詳しくなくて「脂肪が削るよりは水で抜く」みたいなやり方だったんです。そのキツい経験を経て脂肪の削り方やMMAに最適な特性を学びました。K-1やボクシングは有酸素メインで筋肉をあまり使わないのでカロリー消費が少ないんですが、グラップリングをやるとすごく痩せる。そのあたりの調整が今回は上手くいったと思います。
――自身が身をもって体験したからこそ、後輩たちに伝えられることも多くなりますね。
【平本】そうですね。自分の後輩や(弟の平本)丈にはキツい思いをしてほしくないです。自分が経験してきた食事の管理やタイミング、ケアの徹底は伝えていきたいですし、身をもって教えるようにしています。
――試合からちょうど1週間が経ちましたが、どのように過ごされていましたか?
【平本】とにかく試合のダメージがやばくて、頭も全身も痛かったです。本当は(酒を)飲んじゃいけないんでしょうけど、昼間からのビールが美味すぎて(笑)。「ダウトベックに謝りたいから」とカザフスタンにわざわざ謝罪しに行った人たちのことを想像すると、余計にビールが美味しくてしょうがない(笑)。試合前は我慢していたので、「ビールってこんな美味かったっけ?」って感激してます。
――奥様のご実家がある大阪でゆっくり過ごされたんですね。
【平本】はい、大阪で少しゆっくりしました。僕は友達の半分以上が関西人で気が合う人が多いですし、大阪の街や雰囲気が肌に合いますね。住めると思えるくらいなじみ深くて、大阪や関西が大好きです。
――今回が初めてのドームでの試合でしたね。
【平本】めっちゃ良かったですね。形も京セラドームのほうが東京ドームより好きでしたし、時間帯もあったのか暗くて演出もマッチしていて、雰囲気が最高でした。入場前にスタッフから「花道にリフトアップします」って説明されて、マイケル・ジャクソンの『ブカレストライブ(※)』みたいにジャンプして登場するのかと思ったんですよ。「マイケルみたいにできる!」と思ってずっとジャンプの姿勢で構えてたら、すっごいゆっくり上がってきて「これかよ!」と(笑)。RIZINには次からあのジャンプできるリフトアップを正式に取り入れてほしいですね。ドカンと出てきて、マイケルみたいに1分間ポーズを決め続けたいです(笑)。
(※1992年の『デンジャラス・ワールド・ツアー』ブカレスト公演。オープニングでステージ下からジャンプアップしたマイケルが、仁王立ちのまま約1分39秒、微動だにせず観客が大声援を送り続けた伝説のシーン)
――ケガをしないように気をつけてください(笑)。長い花道はいかがでしたか?
【平本】オープニングセレモニーで花道に立って、あの観客の歓声を浴びた瞬間に「帰ってきたんだな」と実感して、エモくなりすぎないように意識はしていました。
――セレモニーでは上下ともクロムハーツがお似合いでした。
【平本】デニムはカスタマイズで、完成まで3ヶ月くらいかかりました。最近ハマってる赤を取り入れてもらって。日本で一番クロムハーツが似合う格闘家は、間違いなく僕なんで(笑)。朝倉未来のほうが僕よりいいものをいっぱい持ってると思うんですけどね。
■「普通の選手なら5~6回は失神」ダウトベックの剛腕を耐えた“もらう技術”
――試合内容について、1ラウンドにダウトベック選手の強烈な左フックを受けて腰が落ちる場面があり、会場に大きなどよめきが起きました。
【平本】パンチが効いて、けっこう足にきていましたね。最初の1発目はスピードというか角度が全く見えなかったんです。ただ、あの1発を耐えきったからこそ、2・3ラウンドは相手の攻撃が全部見えました。ダウトベックは1RのKOが多い選手なので、1ラウンド目は全集中で左のパンチを警戒して、変にテイクダウンを意識してパンチをもらうのが嫌だったので、あえてガードを固めて受け止める選択をしました。1ラウンド目を抑えられたのが大きかったです。
――ダウトベック選手のパンチの衝撃は過去最大でしたか?
【平本】とんでもなかったですね。1週間経った今でも頭が痛いですし、まだ顔も腫れています。僕以外の選手だったらあの試合で5〜6回は失神していますよ。ただ、僕の場合は「もらい方」も技術なんです。正面で食らったら誰でも効きますが、角度をずらしたり食いしばるタイミングを合わせたりして、ダメージを最小限に抑える。これも技術だし、「平本は打たれ強い」って一言で片付けられたくない。9歳から格闘技を始めて20年近くやってきた打撃の技術があるからこそ、耐えられたんです。
――試合前のコンディションやケガの状態はどのようなものだったのでしょうか?
【平本】正直、肩以外のケガもいろいろあって、最後の2〜3週間はまともに動けませんでした。右膝の内側靭帯を骨挫傷して、治療のためにPRP注射を打ったり、RIZIN専属ドクターの方に治療してもらいながら、左足の親指もケガして股関節や左の蹴りが練習で一切使えなくなったり。全身にケガが分散して痛すぎて、逆に肩のケガが気にならなくなったくらいです(笑)。肩もまだ完璧じゃなくて、内旋の動きも途中で止まってしまう状態なので、一度しっかり時間を取って全身を治したいですね。
――そんな満身創痍の状態でも、5万人近い観客の前でダウトベック選手に勝利できたことは、やってきたことが報われた瞬間だったのでは?
【平本】この状況で勝利できたことは、自分の中で大きな自信であり誇りになりました。復帰戦で不安もすごく大きかったけど、本当にパトリック(宇佐美正パトリック)に救われました。8月の丈の試合が終わってから東京に来てくれて、自分がケガで苦しくて練習が思うようにできない時期もずっと付き添って励ましてくれて、できる範囲のことを一緒に考えてくれて。本当にいい仲間で、すごくうれしかったです。来月の長崎大会(『RIZIN LANDMARK 16 in NAGASAKI』)に向けて、僕や大塚(隆史)さんや岩﨑(達也)先生でパトリックをサポートします。今回は本当にパトリックに救われたので、一生かけてパトリックに恩返ししていきたいです。
――パトリック選手が技術だけじゃなくメンタルのサポートもしてくれたんですね。
【平本】試合前の悩みや苦しさって、妻には心配させたくないから家に帰っても言えないじゃないですか。その点、岩﨑先生、大塚さん、丈、パトリックはすごく相談しやすい存在で、本当に救われました。今回の試合のテーマが「すべてに感謝」だったし、今でも周りへの感謝で涙が出そうになるくらいです。
■青木真也と同じ控室に感激 帰ってきたレジェンドへの敬意「勝つところを見たい」
――紙一重の結果でしたが、ここで勝てたことは大きかったですね。
【平本】試合後に(TRIBE TOKYO MMA)の長南亮が自分のnoteでグチグチ言ってるみたいですけど、まず自分のところの選手を勝たせてみろって。ダウトベックに2人も負けてんじゃん(YA-MAN、萩原京平)。そもそも、自分が(2022年3月に)鈴木千裕に負けたころに「うちのジムに来ないか」って猛烈に勧誘してきたんですよ。でも、鈴木千裕に負けた僕にヘイトツイートしてたのを知ってたから、「悪口を書いたりジムに誘ったり、何なんだろう」と思って、絶対にいつか揉めると感じたんで行かなかったんです。そのタイミングで岩﨑先生に出会えて、本当に行かなくて大正解でした(笑)。
――そんなやり取りがあったんですね。
【平本】後藤丈治選手や若松佑弥選手はめっちゃ強いし、ジムにいい選手もいっぱいいますけど、自分の選手の愚痴をnoteで売るような人ですから。青木(真也)さんにも酔っ払ってキレてるみたいだし、僕は青木派なんで余計に嫌いなんでしょうね。
――オリコンニュースも青木選手に怒られながら頑張ります(笑)。青木選手とは控室が一緒でしたね。
【平本】すごくうれしかったです。昔の青木さんはピリピリして誰も話しかけられないイメージでしたけど、試合前から僕の妻のこととかすごく気にかけて話をしてくださったり、青木さんもすごくうれしそうな感じがして、感激しました。結果は残念でしたけど、青木さんがRIZINで勝つところを見たいと思います。僕は小学生の頃はMMAはまったく見ていなかったけど、DREAMの青木さんの試合だけは見ていたんですよ。グラップラーで自分とはかけ離れているのに、青木さんの試合だけは昔から好きで。大塚さんをDEEPに推薦してくれたのも青木さんらしくて、大塚さんもすごく恩を感じていましたし、控室では北岡悟さんの話で盛り上がりました。「平本さんがXで負けるの初めて見たよ」「いやいや、北岡さんには勝てないです」って(笑)。
――2年ぶりに試合に復帰した平本選手と、11年ぶりにRIZIN復帰した青木選手が同じ控室になるのも、運命的なものを感じます。
【平本】自分はPRIDE世代じゃないですけど、DREAM世代なので。川尻達也さんも動画で毎回僕のことをすごく褒めてくれて、それも見るたびにうれしいです。レジェンドの方々に評価していただいて、本当に光栄だと思っています。
――数年後には「平本さんに褒めてもらって光栄です」という次世代ファイターも出てくるはずです。
【平本】自分にあこがれて格闘技を始めた選手がトップで活躍するような時が来たら、自分も良い役割を果たせたなって思うかもしれないです。ただ、自分の子どもには絶対に格闘技はやらせないですけどね(笑)。割に合わないくらいキツい仕事ですから。自分のジムにキッズも通ってくれていますけど、自分の子どもにはやらせたくないですね。
(後編は『超RIZIN.5』で勇気をもらったファイター、次戦の時期や希望する対戦相手、長崎大会の見どころ、さらに因縁のファイターについて語り尽くす)
◆『abc presents RIZIN LANDMARK 16 in NAGASAKI』対戦カード
10月3日/長崎スタジアムシティ HAPPINESS ARENA
・RIZIN MMAルール:5分3R(71.0kg)
堀江圭功 vs. 宇佐美正パトリック
・RIZIN MMAルール:5分3R(66.0kg)
ビクター・コレスニック vs. 松嶋こよみ
・RIZIN MMAルール:5分3R(61.0kg)
芦澤竜誠 vs. 井上聖矢
・RIZIN MMAルール:5分3R(49.0kg)
ケイト・ロータス vs. NOEL
・RIZIN MMAルール:5分3R(66.0kg)
ライアン・カファロ vs. 安井飛馬
・RIZIN MMAルール:5分3R(57.0kg)
火の鳥 vs. 上田将年
・RIZIN MMAルール:5分3R(57.0kg)
杉山廣平 vs. 小田魁斗
・RIZIN MMAルール:5分3R(120.0kg)
荒東“怪獣キラー”英貴 vs. 長谷川賢
・RIZIN MMAルール:5分3R(61.0kg)
アラン“ヒロ”ヤマニハ vs. 山本聖悟
・RIZIN MMAルール:5分3R(120.0kg)
マック・パパリイ vs. アルブリー・ンジャイ
【オープニングファイト】
・RIZIN MMA特別ルール:5分2R(71.0kg)
大木良太 vs. ハント・レンジャーズ
・RIZIN キックボクシングルール:3分3R(57.0kg)
今村流星 vs. 上村玲音
・RIZIN キックボクシングルール:3分3R(100.0kg)
森孝太郎 vs. 勇気
・RIZIN キックボクシングルール:3分3R(65.0kg)
KAKERU vs. 歩叶