俳優の坂口健太郎が主演する映画『私はあなたを知らない、』(8月28日公開)から、坂口と中野量太監督が作品の見どころを語るインタビュー映像が公開された。
【動画】坂口健太郎×中野量太監督、インタビュー映像
本作は、『湯を沸かすほどの熱い愛』以来、10年ぶりに中野監督が完全オリジナル脚本を手がけた日仏共同製作のヒューマンサスペンス。狂おしいほどに“家族”という幸せを求め、愛する人を殺める重い罪を犯した孤独な青年・夕平(坂口)が、封印してきた記憶と真実に触れていく姿を描く。
本作で初タッグを組んだ坂口と中野監督。撮影の約1年前に初めて顔を合わせた。坂口が本作の脚本を読んだ際に感じたのは、登場人物の感情を真正面から描く中野監督の“生々しさ”だったという。
坂口は「まだ監督とお会いする前までは、繊細な方だと思っていたんです。文学的ともちょっと違うんですけど、感情を書ける、気恥ずかしいことも書ける生々しさを感じた」と振り返る。
特に印象に残ったのは、夕平が遊園地で幼い朝子と過ごす場面。「こんなに頑張っているんだよ。こんなに君のために」と尽くした相手から心ない反応を受け、心にわずかな“黒いもの”が浮かぶ瞬間に「すごく理解できる」と語る一方、それを脚本に書くことについて「弱点というか、自分の恥ずかしい部分を書くこと」だと感じたという。
一方、中野監督は、坂口に当初「繊細なイメージ」を抱いていたものの、実際に会うと「体育会系のお兄さんだった」と笑いながら告白。「めちゃくちゃ明るい人で、めちゃくちゃ人のことをちゃんと見てくれている」と印象を明かした。演技についても「僕が求めていた部分はきちんとあって、そこをうまく出してくれて、俳優って面白いな、と思った」と称賛している。
中野監督が本作で向き合ったのは、「人を殺める」という重い題材だ。これまで避けてきたテーマだったという。しかし、簡単に命が失われていく社会情勢を目にするなか、「ひとりの命が殺められたことで、一体何が起きるかを、とことん丁寧に描いてやろう」と決意。「それが今の時代に対する僕のメッセージになるかなと思った」と語る。
完成した作品を観た坂口は、開口一番「超名作!」と声を上げた。夕平、紗月、朝子という限られた関係性を描いた「すごく狭い世界の話」でありながら、そこには「無限が広がっている」と感じたという。
夕平を演じるうえでは、「100%理解しないようにしようみたいなところもあった」一方、「ただ、100%共感はしていたい」と意識したことも告白。夕平の選択を肯定するのではなく、「彼がどう思って、生きて、決断したのかは本当に丁寧に出したい」と役に向き合った。
坂口は、本作を「何度も観たい」とも語る。「面白かったからもう一回観たいというよりは、本当の彼の心の底にあるものというか、彼から読み取りたくなるものが映画の中にたくさんあった」と説明。「なんで彼はああいう選択を取ったんだろうということがわからない。そこがぼやけている方が思い出すんですよ」と明かした。
さらに、「僕が来年観ても全然気持ちが変わると思うし、10年後に観ても、まだまだ夕平のことを知りたくなる映画」と、観るたびに新たな感情や問いを呼び起こす作品であることを強調した。
中野監督も「正しい、正しくないということではない」とし、「共感はして演じるけど、決して正しい行為かと言われたら、そうではないかもしれない」とコメント。登場人物の選択に答えを示すのではなく、その思いと行く末を観客に委ねる作品だと語った。
中野監督によると、試写を観た知人からは「人間味あふれた、ユーモアあふれるサスペンス」と評されたという。監督自身も「普通の、ただのサスペンスでは全然ない」と語る。
坂口も「自分なりの感想を伝えたい」という連絡をもらうことが多く驚いたと明かす。「男性、女性、年齢、環境を問わず、その人が観てくれる瞬間に一番届く映画」と表現し、作品の何かが「雫みたいに、観てくれた方の心に残る」ことを願った。