渋谷陽一さん最後の単行本刊行へ 上下巻1000ページ超の評論集 桑田佳祐が追悼コメント

 ロッキング・オン・グループ創業者で、2025年7月14日に亡くなった音楽評論家・渋谷陽一さんによる最後の単行本『メディアとしてのロックン・ロール 渋谷陽一評論集 1972-1996』『メディアとしてのロックン・ロール 渋谷陽一評論集 1997-2025』が、6月9日に上下巻同時発売されることが決定した。

【写真】対談にて…笑顔で語っていた渋谷陽一さん

 渋谷さんは1972年、20歳で洋楽誌『rockin'on』を創刊。その後、『ROCKIN' ON JAPAN』『bridge』『CUT』『H』『SIGHT』『SIGHT ART』など数々の雑誌を創刊し、洋楽ロックを中心に多様な分野で評論活動を展開した。また、NHK FM『サウンドストリート』『ワールドロックナウ』などでのラジオDJ活動や、『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』『COUNTDOWN JAPAN』『JAPAN JAM』の立ち上げ・プロデュースなどを通じ、日本の音楽シーンに大きな足跡を残した。

 同書は、渋谷さんの活動の根幹であり続けた「評論」に焦点を当てた評論集。『rockin'on』創刊の1972年から2025年まで、53年にわたる評論家人生の中から厳選した全280本の原稿を収録する。音楽評論に加え、映画、政治、美術評論、さらにはロックフェス主催者としてのメッセージまで掲載。上下巻あわせて1000ページにわたるボリュームで、渋谷さんの思想や視点をたどることができる内容となっている。

 あとがきには、渋谷さんとともにロック黎明期を駆け抜けてきた音楽評論家・大貫憲章氏と伊藤政則氏による対談を前後編で収録。また、渋谷さんと親交の深かったサザンオールスターズの桑田佳祐から寄せられたコメントも帯に掲載される。

 桑田は「70年代初期から、多様化するロック・ミュージックを的確に魅力的に、且つ挑発的に言語化した人だった。エンターテイメント業界の光と影、表と裏に、いつも冷静で優しい眼差しを向けていた。あの甲高い声のトーン、挑みかかるような取材姿勢はいつも変わらない。そして相手に敬意を払う姿勢も最後まで忘れなかった。ロック・ミュージックを、幾つもの小さな曲がりくねった濁流から、世間という大河の流れへと導いた渋谷陽一さんは、“大衆文化”と“人”をこよなく愛する音楽ジャーナリストであり、尊敬すべき最高の人物だった」と追悼のコメントを寄せている。

 発売日の6月9日は渋谷さんの75歳の誕生日でもある。上巻には1972年から1996年までの95篇、下巻には1997年から2025年までの195篇を収録。53年にわたる評論家人生の中から厳選された全280本の原稿を通じて、渋谷さんの思想や視点をたどることができる内容となっている。

■上下巻それぞれの掲載内容(抜粋)
【上巻】
「メディアとしてのロックン・ロール1〜5」「何故ハード・ロックか?」「ジミー・ペイジへのささやかなシンパシー」「偉大なる他者としてのアメリカ」「ひとつも難解でない『2001年宇宙の旅』」「ヘヴィー・メタル・ブームはゴミじゃ!!」「音楽とは何か アバンギャルドミュージック試論」「ジョン・レノン事件に関する報道のほとんどはゴミじゃ」「スーパースターになっても殺されない法」「海には出たけど泳げない」「クラッシュ批判に答えて」「産業ロックへの挑戦状」「デヴィッド・ボウイは本当に駄目になったのか」「僕は売れるポップ・ミュージックが大好きだ」「どうしてバンド・エイドとUSA・フォー・アフリカは駄目なのか」「ロッキング・オンの値上げと新雑誌の創刊について」「プリンスにとっての『YOU』と『U』」「半径5メートルのリアリティー -パブリック・エナミーの居る場所」「ロックはどうして時代から逃れられないのか」「プロディジーの摩擦係数の高さはとても気持ちがいい」他、全95篇収録

【下巻】
「他者としてのストーンズ」「ロックはまだやるべき事はいくらでもある ナイン・インチ・ネイルズ『ザ・フラジャイル』が実現してみせた3つの奇跡」「レディオヘッド、お前はロックだ」「悲しみを怒りに変えるロック・ラディカリスト、エミネム」「夏が終わり、ロックは家に帰る グリーン・デイの傑作『アメリカン・イディオット』を読み解く」「正義が人を殺す時代を終わらせるために アンチ・ブッシュ・キャンペーンによってスプリングスティーンが獲得した真のリアルとは何か」「奇跡は起きたーー。12.10ロンドン、ツェッペリン再結成公演レポート」「追悼文 忌野清志郎/デヴィッド・ボウイ/中村哲/松村雄策/ジェフ・ベック/坂本龍一 他」「何故、手塚治虫はアトムが嫌いだったのか」「私たちは、原発を止めるには日本を変えなければならないと思っています。」「ロックフェス、やります」他、全195篇収録