東京都は28日、多摩動物公園で26日にタイリクオオカミ(亜種:ヨーロッパオオカミ)が生まれたとホームページで発表した。2013年に「アジアの平原」で展示を開始して以来、初めての繁殖となる。
【写真】貴重!生まれたばかりのタイリクオオカミの様子
ホームページによると、生まれたタイリクオオカミは、26日時点で性別は不明、3頭が監視カメラで確認された。
母親はスイ3歳。2023年4月24日ベルン動物園(スイス)で生まれ、24年3月1日に多摩動物公園に来園した。父親はカヨラン9歳。16年4月30日にヘクセンタンツプラッツ動物園(ドイツ)で生まれ、25年1月30日に多摩動物公園に来た。
同園では01年から、タイリクオオカミの飼育をアジア園猛獣舎(現在のトラ舎の一部)で開始。2005年以降繁殖がみられ、オオカミ本来の群れ「パック」の展示を実現し、2013年には、「アジアの平原」の開設とともに群れを移動した。
その後、個体の高齢化が進んだため、24、25年にヨーロッパの動物園から、新たなペア候補の個体(「スイ」と「カヨラン」)を受け入れた。
25年4月からこの2頭の同居を開始し、繁殖期である26年2月中旬には交尾が確認された。4月中旬頃から、腹部の脱毛、乳首の露出、乳房の張りなど、明らかな妊娠徴候が見られたが、オオカミにおいては偽妊娠の可能性もあるため、注意深く観察を続けていた。
4月25日には飼育担当者が目視で胎動を確認し、また、同居中のカヨランを追い払う行動や、落ち着きなく歩き回る様子、頻繁な穴掘り行動など、普段とは異なる行動が認められた。
4月26日朝、監視カメラを確認したところ、午前7時37分に1頭目が生まれ、その後2頭の出産を確認。スイは子をなめたり気にかけたりと、しっかりと世話をしているという。
現在は落ち着いて子育てできる環境を確保するため、母子を含むオオカミの展示を中止している。母子の体調が安定した後、公開の予定としている。
国内で亜種ヨーロッパオオカミを飼育しているのは、多摩動物公園のみ。同園での飼育数は生まれた子どもを含めて5頭となった。
タイリクオオカミは、ヨーロッパ、ロシア、シベリアに分布。メスはオスより体格が小さい。体毛は、白色、浅黄色、柿色、灰色、黒色で混合した色が特長。雌雄のペアとその子孫や兄弟を中心とした約2~20頭の群れ、パックを形成する。
雌雄別々の順位があり、繁殖ペアが上位である。群れのまとまりが強い。食性は肉食で大型中型のシカやイノシシ、ウサギなどで、魚や両生類、爬虫類など小動物も食べる。群れは縄張りをもち、食べ物を探し、広範囲を移動する。交尾は年一回冬に行われる。妊娠期間は約2カ月で平均4~6頭の子を産む。群れ全体で子育てを行う。