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【インタビュー】亀田誠治、純愛音楽映画『君が最後に遺した歌』に込めた初期衝動と“歌の力”

 3月20日に公開となる映画『君が最後に遺した歌』で音楽プロデューサーを務める亀田誠治にインタビューを行った。本作は『今夜、世界からこの恋が消えても』の一条岬(原作)、三木孝浩(監督)、亀田ら“セカコイ”チームが再集結し、主演に道枝駿佑(なにわ男子)、ヒロインに生見愛瑠を迎えた儚くも温かいラブストーリー。

【動画】生見愛瑠のギター演奏にも注目!Ayane「Wings」ミュージックビデオ

■10年という時間の変化や人の成長を“音楽”で支える

 物語は、詩作を密かな趣味とする主人公・水嶋春人(道枝)と、文字の読み書きをすることが難しい“発達性ディスレクシア”を抱えながらも歌唱と作曲の才能を持つ遠坂綾音(生見)が出会い、2人が“歌をつくる”時間を通して心を通わせていく10年の軌跡を描いた感動作。亀田は劇中歌4曲に加え、劇伴も含めた音楽全体を手がけている。

 亀田は今回の音楽制作について「今作は、劇中の音楽が綾音と春人のセリフにもなり、心の動きや情景の描写にもなる。すべての音楽が“一本の線”になるように繋げてほしいというリクエストを三木監督からもらいました」と振り返り、「4曲の劇中歌以外の劇伴もすべて自分が書くことで、10年という時間の変化や人の成長を音楽で支える設計にしました。非常にやりがいのある仕事でした」と語った。

 物語の序盤、高校生の2人が初めて共作する楽曲「君と見つけた歌」については、「初々しさと、一緒に曲を作る過程の喜びが感じられるように、昔の自分も振り返りながら作った」と語る。「初めて曲を作るとき、初めてギターを鳴らすとき、そういう感覚は今も自分の中にもある。音楽を生む人と人とのつながりは普遍的なテーマです」と、自身の原体験とも重ねた。

 一方、綾音がプロアーティスト・Ayaneとしてデビューし、春人ではない“プロの作家”たちと制作した楽曲「Wings」については「これは明確に“プロの手が入った曲”という設定がある」と説明。「自分も若い頃、仲間と作ったデモが通らず、ボーカルだけがデビューしていくのを見守った経験があるんです。だからこの曲のほうが、実体験につながるかもしれません」と明かし、「プロの手が入ったものとそうでないものの違い」については、「一概には言えませんが、プロが作る歌詞は多くの人が“自分事”として感じられるような、広い世界観がある。そういう世界観を生むことができるのがプロの手が入るということかもしれません」と語った。

■綾音が使っているギターへのこだわり

 発達性ディスレクシアを抱えるAyaneが書いた、心を打つ楽曲「春の人」については、「脚本の吉田智子さんがスケッチを書いていて、その言葉を受け取りながらメロディーと言葉を組み上げた」と明かす。「吉田さんとも何度もキャッチボールをして、脚本と音楽をマッチさせていきました」と制作過程を振り返る。

 そして、物語の重要なキーとなる「はるのうた」については「この映画が見終わったときに希望を持てるような、光が見えるような作品になることを一番意識した」と語る。「春人と出会ったときに綾音が鼻歌として歌ったメロディーがこの曲になる。2人の10年間の集大成です」と説明し、「メロディーも言葉も情景も、映画を見た人の心の中で蘇るようなストーリーを歌にしました。普遍的な愛の歌として響いてくれたら」と願いを込めた。

 劇中で象徴的に登場する、綾音の使用ギターについても亀田のこだわりがある。「綾音が使っているエピフォンのカジノを選んだのは僕なんです。叔父から受け継がれ、綾音の人生を輝かせた象徴として、命や時間の連なりを象徴させたかった」と語り、「ビートルズが好きな自分にとってはジョンが弾いているギターでもありますから」と、このギターへの思いを語った。「これまでカジノがこうした題材で使われることはあまりなかったと思います。今までにない形で物語の中に置きたかった」とその意図を明かした。

 俳優陣の取り組みについては、「ギターの先生やボイストレーニングの先生とともに音楽面を全面的にサポートしましたが、それを何十倍ものエネルギーで返してくれました」と語り、「生見さんは本当にAyaneになった」と、ギター初挑戦ながら見事に演じ切った生見を絶賛。さらに「やっぱり役者さんってすごい。目標に向かって進んでいく力があって、それがスクリーンから人を感動させる演技になっていくんだと思う」と、俳優の力について語った。道枝についても「春人としての表情や涙の流し方、微笑み方すべてが慈愛に満ちていました」と、演技力を絶賛した。

 最後に亀田は本作の音楽について「綾音と春人の思い。その思いが永遠になってずっと流れているという気持ちで聴いてほしい」と語り、「誰にでも起こり得る物語だから、映画を観る人それぞれの人生に寄り添う歌として残ってくれたらうれしいですね」とメッセージを送った。