俳優のドウェイン・ジョンソンが、これまでのパブリックイメージを脱ぎ捨てた役どころに挑戦し、大きな話題を呼んでいる映画『スマッシング・マシーン』(5月15日公開)。本作は、日本中を熱狂の渦に巻いた総合格闘技の祭典「PRIDE」の創成期、“霊長類ヒト科最強”と恐れられた伝説の格闘家マーク・ケアーの知られざる実話を描く。
【動画】ドウェイン・ジョンソンのビフォーアフター、タイムラプス映像
本作で実在の総合格闘家マーク・ケアー役に挑んだドウェイン。スクリーンに映し出されるその姿は、まさに当時のケアーそのもので、ドウェインだとは気づかないほどの変貌ぶりを見せている。そのリアリティを支えたのが、日本出身のメイクアップアーティスト、カズ・ヒロらによる特殊メイクだ。あわせて、ドウェインがケアーへと変貌していく過程を収めたタイムラプス映像も公開された。
カズ・ヒロは、本年度アカデミー賞メイクアップ&ヘアスタイリング賞にもノミネートされており、本作ではドウェインの顔の型取りから、彫刻によってプロステティック(特殊メイクパーツ)を設計するなど、キャラクターの見た目を決定づけるデザインを担当。俳優の演技を損なうことなく、実在人物の特徴を再現するため入念なテストを重ねたという。
カズ・ヒロは「ドウェインは誰もが知っている顔なので、どこまで変えてマーク・ケアーに近づけるかが難しかった」と振り返り、特に目元の構造の違いに苦心したことを明かし、「ドウェインが(自然に)瞬きや演技ができるようにデザインすることが大変だった」と語っている。
さらに、よりケアーに近づけるためドウェイン用に特別にデザインされたかつらを使用。劇中には格闘シーンが多いため、激しく動いても外れないよう細部まで設計されているほか、全身に入ったタトゥーをカバーするメイクも施された。こうした作業のため、撮影前には毎日4時間ほどをヘアとメイクに費やしていたという。
これまで数々の実在人物を題材にした作品で特殊メイクを手掛けてきたカズ・ヒロは、「実在の人物を表現する際には、その人物と俳優の両方に尊敬を持ってデザインすることを大事にしている」と語る。徹底したリサーチと資料収集を重ね、人物の生き方や背景まで研究した上で造形を組み立てていくという。
本作についても、「スタッフ全員が素晴らしく、非常にスムーズな現場だった」と振り返り、「ドウェインも努力していたし、監督のベニー・サフディも強い思いで作った映画。スタッフ全員が一丸となって作り上げた作品だと思う」と、作品への思い入れを明かした。
また、カズ・ヒロ自身は当初、格闘技に強い関心があったわけではないというが、リサーチを進める中で試合の勝敗だけではなく、その裏にある人間関係や努力、挫折などに魅力を感じたと語る。「この映画は格闘技の話というより、人間の努力や達成、そして失敗と、そこからどう生きていくかという映画。そういう意味で、とても完成された良い映画だと思う」とその魅力を語っている。
『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』『スキャンダル』でオスカーを受賞しているカズ・ヒロが、本作で3度目の受賞を果たすのか。今年は同部門に、日本映画として初めて『国宝』がノミネートされており、日本作品と日本出身アーティストによる“日本対決”にも注目が集まっている。