生まれたときから病気を抱えながらも必死に生きる赤ちゃんはたくさんいる。苦悩も多いなか、試行錯誤をして子育てに励む親御さんの姿には心を打たれる人も少なくないはず。生まれてきた双子の赤ちゃんがダウン症であることが判明した家庭。手術やリハビリをくり返しながら、双子の子育てや治療の様子を発信する双子夫婦さんの投稿が大きな反響を呼んだ。一方、妊娠20週の頃、お腹の中の赤ちゃんに「単心室」という病態が発覚。生まれた後も新たな病気が複数判明し、今でも闘病中である千香ちゃんの様子を発信する投稿が注目を集めている。病気が発覚した際の心境や子どもに対する想いなどについて、2組のお母さんに聞いたエピソードをあらためて振り返る。
【写真】この笑顔を守りたい…”全開笑顔”ダウン症の双子ちゃん
■「どんな形でもありのまま受け止めよう」 ダウン症双子の生命力から芽生えた価値観
ダウン症の双子の子育ての様子を発信している双子夫婦さん。投稿には、「偉いね、頑張ってるね」「一緒に頑張りましょう」などと、励ましや共感のコメントが数多く寄せられている。
2人が生まれてきたとき、医師から伝えられたのは、「2人ともお尻の穴がない」「二卵性と言っていたが生まれてから一卵性と判明」「白血球の数値が高い」ということだった。
「最初は『お尻の穴くらい簡単に治るだろう』と安易に考えていましたが、その後に父と子どもたちだけで大学病院に移動し、検査の待ち時間にネットで調べているうちに『ダウン症』という言葉が出てきて、不安が一気に押し寄せました。検査待ちの時間は、正直おかしくなりそうでした。翌日、妻も転院してきて話し合い、『まずは2人が無事でいることを願い、どんな形でもありのまま受け止めよう』と決めました」
生まれてすぐにストマを作る手術をし、一過性骨髄異状増殖症という大きな病気があったので、抗がん剤治療をくり返し、それが落ち着いた頃に肛門造成手術をしたという。
「今はリハビリ期間で、今度3度目のストマを埋める手術があります。病院での処置や入院生活は大変でしたが、医師や看護師さんに支えられ、今こうして自宅で一緒に過ごせていることが本当にありがたいです」
NICUに入院していた時期が一番大変で、面会時間が限られていたため、抱っこしたいのにできないという状況がとてもつらかったと明かす。
「でも、ガラス越しに小さな体で一生懸命生きようとしている姿を見て、『この子たちのためにもっと強くならなきゃ』と思いました」
そして最初は悲しみが大きかったものの、2人の笑顔や成長、いろいろな人の言葉などに触れるうちに、「障がいがあるからこその特別な喜びがある」ということに気づけたという。
「自分たちの価値観も“人と比べること”から“今を大切に生きること”へと変わっていったと思います」
2人には、「これからも2人が笑顔で自分らしく生きていけるように育ってほしい」と願っている。
「社会の中で“できること”と“できないこと”があるかもしれませんが、私たちは全力で応援して、愛情を注いでいきたいと思っています」
■「生きていてくれてよかった」 妊娠20週のときに心臓の難病が発覚した赤ちゃん
妊娠20週を迎えた頃、お腹の中の赤ちゃんに「単心室」と呼ばれる、正常に機能する心室が1つしかない病態があることが判明。生まれた千香ちゃんは、出生後の検査でも次々と病気が明らかになった。
「今の医学なら死んでしまうような病気ではない」との医師の言葉を支えに、お母さんは妊娠生活を過ごしていたという。出生後の精密検査では、「共通房室弁」や「大動脈狭窄」など、新たな病気も複数わかった。
「聞いたこともない病気の名前でわからなさすぎて、逆にボケっとしていました。検索してもいまいち出てこなくて…。今思うと、現実逃避をしていたんだなと反省しています」
生後2ヵ月で千香ちゃんが退院したときは、「『赤ちゃん可愛いー!!!』という感情のみで過ごしていた」とお母さんは振り返る。
「2ヵ月の千香ちゃんの入院は私の体を回復させてくれる時間でもあり、『娘を自分で育てたい!』という気持ちが高まりすぎていたので、とにかく幸せでした」
「単心室」の治療として、「グレン手術」という約11時間に渡る大手術に臨んだが、お母さんは病院についている宿泊施設で寝ていたという。
「家で待機する実母からは『なんでそんなときに寝られるの!?』と言われましたが、本当は、眠くなるタイプの花粉症の薬を飲んでやり過ごそうと思っていました。ダメな使い方ですよね」
大手術を終え、千香ちゃんが戻ってきた際、「胸を開けたまま帰ってきた」というあまりの衝撃に直視することができなかったそう。ただ、ICUの先生に「大丈夫、元の千香ちゃんに戻る」と言われたため、それを素直に信じていた。
「私は良くも悪くも素直すぎるんですよね。でも、息をしていたので、とりあえず“生きていてくれて良かった”という安心はありました」
「なぜ私の娘が…」と思うことは「じゃあ、ほかの子ならいいの?」となってしまうので、そういった考えは持たないようにしているとお母さんは言う。
「いろいろと考えても、もう起きてしまっていることなので、『そんなことも起きるよね、人生は』という“演歌”のような気持ちです。ブッタの『過去を追ってはならない。未来を期待してはならない。今日、まさになすべきことを熱心になせ』という言葉が好きでお守りにしています。寿命が縮んでしまった娘の未来を考えたり、笑い合った過去を思い出したりして悲しむくらいなら、今の千香ちゃんを大事に育てたいと思いました」
「千香ちゃんには、なるべく長く生きてほしい」というのがお母さんの一番の願いである。
「SNSなどでは差別的な言葉や目を向けられることもありますが、実際はやさしい人のほうが多いので、そちらに目を向けてお互い頑張って生きていきましょう」
とお母さんは語り、同じように病気や障がいと向き合う家族へエールを送った。