俳優の駿河太郎、三船美佳がMCを務める、MBSテレビ『住人十色~家の数だけある 家族のカタチ~』(後5:00 ※関西ローカル)の20日放送回では、「70代の熟練建築家が建てた終の棲家」が登場する。
【住人十色】明るくする仕掛けが施された2階の寝室
舞台は、神奈川県茅ヶ崎市。住人(アルジ)は建築家の夫と妻。2年前、70代にして一念発起し、終の棲家となる新居を建てた。
大きな段差がある玄関アプローチから家に入ると、4.3メートルもの吹き抜けがある12帖のメインスペースが広がる。南側は全面ガラス窓で、曇り空でも光が届く明るい空間になっている。実は妻たっての希望で、家に光を採り込むため1階を地面から1.2メートル高い位置に設置。それにより段差ができたが、バリアフリーよりも明るさを優先したという。
結婚後、この土地に最初に家を建てたのが43年前。当時、周囲にはほとんど建物はなかったが徐々に住宅街へと変貌していった。するとどんどん日当たりが悪くなり、妻は「とにかく日当たりのいい家にしたい」と強く思うようになったという。そこで2人の娘も巣立ったことから、夫妻で快適に暮らせる終の棲家を設計することに。限られた予算でコストを抑えつつ、長年の設計人生で培ったノウハウを詰め込んで、妻のさまざまな要望も全てかなえたのだった。
熟練建築家である夫の巧みな小技のひとつが、窓。特注ではなく既製品のアルミサッシを使用し、枠のアルミ部分を隠すように柱を設置して、あたかも木製フレームのように見せている。特注の窓ガラスと比べて70万円もコストを抑えた。柱は以前の家のものを再利用。使える建具も再利用して100万円もコストダウンできた。
キッチンは収納棚を一番安価な白で統一し、シンプルなデザインに設計して、大工に作ってもらうことで30万円コストダウン。また以前は別室だったダイニングをキッチンの隣にして、さらにパントリー、玄関へとつなぎ、妻にとって便利な回遊動線に改修した。
一方、物が外に出ているのが嫌いで何でも隠したいという夫は、見せない収納を徹底。オーダーしたダイニングテーブルの中央には、ティッシュペーパーの箱が内蔵できるようにした。またリビングでは仏壇、さらには階段までも扉で隠している。
その隠し階段を上ると、遊びに来た孫と雑魚寝ができる広い寝室が。壁にある大量の棚のようなものは、実は光を反射させる板で、奥の障子を開けると外の大きな窓から光が入り、寝室を明るく照らしてくれる。
70歳を過ぎて建てた終の棲家。熟練建築家ならではの小技が光る中、夫は「将来、どうしても2階に上がるのが億劫になった時は、1階だけで生活できるようになっている。そうならないように頑張っていきたいですけどね」と語る。