5人組グループ・SUPER EIGHT(丸山隆平、安田章大、大倉忠義、村上信五、横山裕)が28日、都内で行われた『超八 in 日本武道館』を開催した。CDデビューから21周年となるグループ史上初の同所での公演は、彼らがこれまで培ってきたスキルや楽曲の魅力を惜しみなく披露。約2時間30分で約20曲を駆け抜けた。
【写真】わちゃわちゃMC…丸山隆平に絡み始める横山裕
デビュー20周年という大きな節目を迎えた翌年、歩みを止めない5人が新たな挑戦の舞台として選んだのが日本武道館。バンドの聖地とも言われるこの場所で、これまでアイドルとしてはもちろん、バンドとしてフェス出演やレギュラー番組など音楽に愚直に向き合い続けてきた5人が満を持して初登場。1公演につき1万4000人のeighter(ファンの愛称)が駆けつけ、3日間で3公演を実施。合計4万2000人を動員し、最終公演は生配信も行われた。
今回は極めて珍しい360度ステージを採用。どの角度からもメンバーを楽しめる構成で、中盤にはリフターがぐるりと回転。360度ステージは2016年から2017年にかけて行われたコンサート『関ジャニエイターテインメント』以来となる。
冒頭、湧き上がる「エイトコール」に応えるように会場奥のレッドカーペットを歩いてステージに上がった5人はバンドポジションにつくと、人気曲「あおっぱな」や「ズッコケ男道」を熱唱。横山は「ラストぶち上がろうぜ! SUPER EIGHT20歳超えて、21歳になりました! 俺らの青春はこっからやぞ!」と力強く宣言し、会場をさらに熱気で包み込んだ。
村上の「せっかく360度で見ていただいているので、ゆったりと音楽、歌詞、言葉を味わっていただいて」という言葉どおり、シンプルなステージ構成とバンドナンバー中心のセットリストは、一人ひとりの歌声や演奏はもちろん、視線や指先、体でリズムを取る仕草など、5人が全身で音楽を楽しむ姿をさまざまな角度から堪能できるぜいたくな時間となった。
「ローリング・コースター」では外側のリフターが360度回転する仕掛けも。曲名にぴったりのステージ演出で、誰ひとり置いていかないパフォーマンスに。会場だけでなく、安田がカメラ越しに声をかける姿も印象的で、本当の意味でeighterがひとつになっていた。
17年前にリリースしたシングル「ワッハッハー」はアコースティックアレンジで披露され、安田の誘導でeighterの歌声も加わり、また新たな息が吹き込まれた。かと思いきや、不思議な笑い声(?)と変顔で締めくくる丸山のトリッキーさで会場は笑いの渦に包まれた。
さらに、丸山が番組で披露した絵描き歌の名(迷?)フレーズ「U字の水槽」を会場のeighterが歌うシーンも。なぜか完璧に歌えるeighterに「怖っ!」「すご!」とメンバーも大ウケ。続けて安田が曲フリで「ご賞味ください」と呼びかけると、その違和感に会場がざわつき、イントロが流れたところで横山がストップをかけるハプニングも発生した。
その後も、楽曲パートが一段落するとすぐにマイペースなおしゃべりタイムに突入。MCでは横山が丸山に「無視すんなよ!」とじゃれ合い、大倉、安田、村上は座り込んで笑い転げる場面も。2014年以来となる“メンバーだけの食事”の話題でも盛り上がった。
驚きやギャップで魅せるのもSUPER EIGHTらしさ。わちゃわちゃした空気から一転、「I to U」ではしっとりとしたラブソングを優しく歌い上げ、安田の要望で急きょセットリストに加えられた「象」ではロック魂全開のパフォーマンスを見せた。
MC明けにはブルーの光沢スーツに着替え、「ハリケーンベイベ」で大人の色気あふれるダンスとカラフルなレーザー、スパークラーの演出で空間を一変。続く「Street Blues」は椅子に座り、紫のライトに照らされながら披露。年齢を重ねたからこそ増した円熟味で観客を酔わせた。
中盤では“武道館といえば”のナンバー、TOKIO「LOVE YOU ONLY」を披露。本公演唯一のカバー曲で、オリジナルへのリスペクトを感じさせながら会場の一体感をさらに加速させた。「“超”勝手に仕上がれ」ではeighterとのコール&レスポンスが響き渡り、ラストスパートへ。横山が「セットリストに入れてほしい」と願った「オニギシ」を紹介した。
この曲は横山が母との思い出を歌った大切な楽曲。15年前に母が亡くなってから一度も歌えていなかったが、今年は「おかんと妙に向き合う一年になった」と語る横山。『24時間テレビ』では横山のマラソン中にメンバー4人が国技館でこの曲を歌い、その想いが届いた。「俺も一緒に歌いたい」という願いがかなう形で、幼少期の写真を背に5人で歌唱し、会場はしんみりとした空気に包まれた。
その空気を一気に吹き飛ばすように本編ラストは「乾杯!!節」。にぎやかなイントロとともに宴もたけなわ、華金の夜をメンバーの明るい「乾杯!」が締めくくった。
アンコールでは「T.W.L」でタオルや拳を振り回し、会場は再び一体となる。最後の人文字で「T.W.L」を表す際、全員がつい「W」をしてしまういい意味での適当さもご愛嬌。「友よ」では360度から注がれる歓声を浴びながら「人生って最高だろう」と高らかに歌い上げ、感動的なフィナーレとなった。
村上は「これだけのキャリアを積んできましたので、だいたいどんなことがあっても大丈夫だと思います。いつまでもこの楽しい時間が続くように、みなさんの人生に恥じないグループでいられるよう頑張ってまいります」と約束。最後は恒例の「最高で、最強の、SUPER EIGHT!」を“360度バージョン”で、東西南北へ少しずつずれながら丁寧に呼びかけ、優しい心遣いで会場を和ませた。
ダブルアンコール「無限大」では自由に踊り回る5人。村上はまるでジュニアのようなキレを見せ、大倉は「使わない手は腰に!」とダンスの基礎を教え始めるなど、5人はすっかりリラックス。名残惜しそうに手を振り続けるeighterに応えながら、新たな挑戦のステージは幕を閉じた。