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坂口健太郎「まさに、血と汗と涙の作品」 映画『盤上の向日葵』出演者インタビュー映像

 公開中の映画『盤上の向日葵』(公開中)より、主演の坂口健太郎をはじめ、渡辺謙、佐々木蔵之介、土屋太鳳、高杉真宙、音尾琢真、柄本明、渡辺いっけい、木村多江、小日向文世ら出演者のインタビュー特別映像が解禁された。天才棋士・上条桂介を演じた坂口が「まさに、血と汗と涙の作品」と語っているように、それぞれが役に込めた覚悟や撮影時の緊迫感を赤裸々に語っている。

【動画】映画『盤上の向日葵』出演者インタビュー

 ある山中で発見された白骨死体と共に残された希少な将棋の駒によって、将棋界に突如現れた天才棋士・上条桂介(坂口)は容疑者となってしまう。それにより、桂介が歩んできた壮絶な過去が明らかになってく。

 寒さの厳しい長野・諏訪湖畔に生まれた桂介は、酒とギャンブルに溺れる父・上条庸一(音尾琢真)のもとに生まれ、幼少期からずっと極貧生活を送ってきた。どんなにもがこうとも好転しない人生。坂口は自身の演じる桂介に対して「痛みを伴う男の子。彼の周りで起きたことは必ずしも桂介のせいではない」となぜか人生に淵に立たされる桂介のつらい人生に想いを寄せるが、そんな桂介が唯一熱中していたものが“将棋”だった。

 小学生の頃、将棋雑誌に伝説の真剣師として特集されていた東明重慶(渡辺)のただならぬ迫力に心を奪われる桂介。大学時代に東明と運命的に出会った桂介は彼の旅打ちに同行。山形最強の真剣師・マムシの米内、そして東北一の真剣師・鉈割り元治との対局を見届け、東明なりの”本物の将棋“を目の当たりにし、東明の圧倒的な将棋の実力だけでなく、男のロマンにひかれていく。一方で、東明もまた桂介の才能にいち早く気付き、その姿に自分自身を重ね合わせていく。

 坂口は「一瞬自分の頭の中から振り払おうとはしたんだろうけど逃れられない。ある種、愛情のようなものもあった」と、互いの孤独や葛藤を本能的に理解し合い、渡辺が「同じ穴のムジナ」と語るような特別な関係を築いていく。固い絆を結んだようにみえるも、桂介の人生に”絶望“をもたらすこととなる東明。2人が歩む波乱万丈の物語に要注目だ。

 実の親から十分な愛情を受けず、闇の中をさまよっていた桂介にとって、人生の“光”となったのは、将棋の才能を見抜き、まるで本当の親のように温かく迎え入れてくれた恩師・唐沢光一朗(小日向文世)とその妻・美子(木村多江)だった。そしてもう一人、そっと彼を支え続けたのが、元婚約者・宮田奈津子(土屋太鳳)。静かに寄り添うように注がれた奈津子の愛は、桂介にとって希望そのものだった。

 土屋は、何か抱えているであろう桂介を側でみて「みんな必死に生きている。好きなことをやっていたつもりなのに苦しくなっていたり…その中で今を一番幸せにしてあげたいと思った」と、桂介を支えたいという奈津子の深い愛情を代弁している。

 容疑者となった桂介を追い過去を解き明かすのは、佐々木蔵之介演じる石破剛志と、高杉真宙演じる自身も奨励会に在籍し、将棋のプロを目指していた若き巡査・佐野直也の刑事コンビ。

 高杉は「棋士になりたくてもなれなかった自身の挫折によって、ただ事件の容疑者としてだけではなく、桂介に憧れや悔しさ、うらやましさを抱いていた」と語る。佐々木は「好きなものに命を焦がす。生きていると感じるものがある。他は捨ててもそこに向かっていく人たちがたくさんでてきて、客観的にみてかっこいいなと思います」と、将棋に命を燃やす登場人物たちの生き様を称賛した。

 劇中の中でもただならぬ気迫を放ち、まさに“盤上の死闘”と呼ぶに相応しい、真剣勝負を繰り広げた東北一の真剣師・兼崎元治(かねさき・もとじ)を演じる柄本明や、東明と元治の真剣勝負の立会人・角舘銀次郎役の渡辺いっけい、桂介の父・上条庸一役の音尾は「酷い父親ではあるものの彼なりの愛情がある」と、そのキャラクターの奥深さを語っている。

 そして原作者の柚月裕子から「生き切ってほしい」という言葉を受けたという渡辺。「とにかく出てくる人間すべてが善とか悪ではなくて、生き切ってほしい。痛みも苦しみも喜びも、全部ひっくるめて生き切ってほしい」と本作ならではの力強いメッセージを残す。

 坂口は「みんなそれぞれ傷や色んな事を抱えているだろうし、そうじゃないと生きていけないんだろうなって。一人じゃ無理だし怒ったり悲しんだり、もちろん楽しいことも、自分だけじゃない誰かと一緒にいないと発生しないことでもあるから」と話している。