NOW ON AIR
宅見将典「夢音Journey」 (23:00-23:30)
NOW PLAYING00:00

『グラスハート』佐藤健×町田啓太×志尊淳“TENBLANKメンズトーク” ライブシーンは「青春」

青春音楽ラブストーリー、Netflixシリーズ『グラスハート』が、動画配信サービス「Netflix」で7月31日から世界独占配信される。ORICON NEWSでは劇中に登場するバンド「TENBLANK(テンブランク)」のメンバー、孤高の天才音楽家・藤谷直季役の佐藤健、努力家のカリスマギタリスト・高岡尚役の町田啓太、超音楽マニアの孤独なピアニスト・坂本一至役の志尊淳にインタビューを実施。核となるTENBLANKメンバーのキャスティングやバンドが演奏する楽曲選定の裏話、迫力満点のライブシーン撮影の舞台裏などを聞いた。(取材・文:遠藤政樹)

■TENBLANKメンバーのイメージは「原作を読んでいるときからあった」

本作は、漫画化もされている若木未生の名作バンド小説が原作。理不尽な理由で所属バンドをクビになった西条朱音(宮崎優※崎=たつさき)が、謎だらけの天才音楽家・藤谷直季(佐藤)が率いる新バンド、TENBLANKのメンバーにスカウトされたことから始まる青春音楽ラブストーリー。主演の佐藤自身が映像化を念願し、自ら企画した一作で、佐藤は共同エグゼクティブプロデューサーも務めている。またTENBLANKが実際にバンドとしてデビューすることも話題だ。

――佐藤さんはエグゼクティブプロデューサーも務めていますが、町田さんと志尊さんのキャスティングはどのような経緯で決まったのでしょうか。

【佐藤】 原作を読んでいるときからイメージはありました。マッチー(町田)はお会いしたことがなかったのですが、作品を拝見していて素敵だなぁと思っていたので、志尊に「町田啓太君ってどんな人?」と聞きました。「いい人だよ」と返ってきたのでキャスティングしました。

【動画】佐藤健&町田啓太&志尊淳がバンド結成!ここだけの“赤裸々”トークで大盛り上がり!?

【町田】 志尊のおかげだ(笑)。

【佐藤】 あそこで「マッチー、現場だとヤバいよ」とか聞いていたら、ちょっとビビってオファーしなかったかも(笑)。

【志尊】 キャスティングの話は言われず、急に聞かれて、こっちは準備できていないから素直なことしか言えないので「大好きだよ。マッチー最高」と話したら(佐藤が)「オッケー!」って。蓋を開けてみたら高岡尚役がマッチーだったのでつながりました。毎回、何の質問なのか説明してもらってもいい?(苦笑)

【佐藤】 真実を探りたいので。役柄に合っているのは当然大事だけど、同じバンドのメンバーとして長い時間を過ごすので、人間性も大事。そういう面も考慮して、信頼できる人を集めました。

――町田さんは今作で初めて佐藤さんと共演されたとのことですが、いかがでしたか?

【町田】 作品は拝見していたもののお会いしたことなかったのですが、健君が総指揮を執って原作を持ち込んで一からやりたいものを作ると聞き、ワクワクしかしなかったです。俳優として自分の作りたいものを自分で作っていくのはすごいなと感じ、ぜひ参加させてもらえたらと思ったので、ありがたかったです。

――3人含め、本作には菅田将暉さん、山田孝之さんなど豪華な俳優陣が出演されています。印象的だったり驚いたりしたエピソードがあれば教えてください

【町田】 孝之さんとのシーンのとき、「高岡って辞めていくけど、なんで辞めたのだろう」という話になったんです。それで1回演奏シーンを撮影した後に(山田が)「わかった!多分俺(山田演じるレージ)のことがむさ苦しくてやめたんだよ」って。

――裏側ではそんな会話をされていたのですね。

【町田】 本編に映っていないのが悔やまれますが、最初のライブシーンで孝之さんが僕が弾いているギターに吠えていて、確かにむさ苦しいなって(笑)。いろんなことをやっていく中で生まれてきて、それをどんどんアウトプットして枠組みを大きくしていくのはすごいなと思いました。

――もっと見たくなるようなライブシーンでした。志尊さんはいかがでしょうか?

【志尊】 山田さんも菅田君も俳優として凄まじいなと思いました。僕らは一年前から楽器を練習しているけど、2人は限られた時間であの完成度で素晴らしい存在感が芝居を通じて伝わってくるのは本当にすごい。そういう姿勢で作品に向き合ってくださった方々の力でTENBLANKというバンドが立っているし、『グラスハート』が面白いものになったと感じました。

■バンドメンバーを演じる上でのこだわりは?

――バンドメンバーを演じるにあたり、役作りは内面的な部分に加えて楽器という要素もあったと思いますが、もっとも大変だったことは?

【佐藤】 楽器もそうですけど全部ですね。音楽全般が大変でしたね。

――では音楽面の見せ方でこだわったポイントを教えてください。

【佐藤】 一生懸命やっている感じに見えたくはなかったです。藤谷の、呼吸をするかのように音を鳴らす表現は頑張りました。

【町田】 最初、カリスマギタリストということにビビっていました。そもそもギタリストについて詳しくないのに、カリスマってどう表現すればいいのだろうと思いました。

――どのようにイメージされていったのでしょうか。

【町田】 原作や台本を読んでも高岡は努力する人という印象はあったので、ひたすら練習しました。高岡は、自分以外の3人が天才で自分は凡人だから練習しなきゃいけないみたいなところがある人物。だから四の五の言わず、とにかく練習するしかない。そこから何か伝わればという思いでやっていました。

――志尊さんは?

【志尊】 楽器を弾いてプロに見えるようにとかカリスマ性とか、それぞれ課題があるのは当然の中、僕は演奏中のコミュニケーションを大事にしました。

――その意図は?

【志尊】 TENBLANKが結成されたばかりの頃と10話の最後の演奏シーンでは、やっぱり違ったコミュニケーションや空気を出さなければいけないけど、坂本はキーボードなのであまり動けない。そこで目線の配り方や見守り方といった、楽器の技術的ではない部分をより意識しました。

――佐藤さんはプロデューサーとしてお二人に伝えたメージがあれば教えてください。

【佐藤】 ライブのシーンは、メンバー全員がその曲ごとに同じ方向を向いていないとダメですよね。だから「この曲はこういうふうな魅せ方をする」みたいな話はしました。

――まるでドキュメンタリーのようなライブシーンは圧巻でしたが、撮影時の裏話があれば教えてください。

【佐藤】 いっぱいいっぱいだったので余裕は一切なかったです。特に10話の撮影はスケジュール的にもギリギリで。最終的にはやりたいことは全部できたので満足はしていますけど、あれは演技というか青春でした。

【志尊】 満身創痍だったよね(笑)。それこそ「Glass Heart」はめちゃくちゃ体力使うので、監督に「もうできません」って言ったのは初めてかも。腰が砕けて立てないんですよ。

【町田】 全部出し切ろうみたいな感じだったよね。

【佐藤】 過去いろいろなライブを見てきて、ライブが終わると同時にアーティストも燃え尽きるみたいな、もう立てないみたいな感じで終わるライブが僕は一番好き。間違いなくTENBLANKの10話の最後のライブはそうしないといけないとは思っていました。

【志尊】 そんな話はしていないけど、自然と立てなくなったよね(笑)

【佐藤】 確かにそうだったね。ぜひ見てください。

■佐藤エグゼクティブプロデューサー「作品を良くするために使えるものは全部使った」

――佐藤さんは過去に出演されていたバンドを題材にした作品『BECK』や『カノジョは嘘を愛しすぎてる』を振り返って、当時との心境の変化や感じたことはありますか?

【佐藤】 変わったというよりは過去の経験を生かして、集約して、この作品にぶつけた感覚です。使えるものは全部使うという。プライベートでも仕事でも何だろうと、作品を良くするために使えるものは全部使いました。

――歌唱シーンも多いですが、いかがでしたか?

【佐藤】 ここまで真剣に歌に向き合ったのは人生で初めてです。レコーディング経験は何度かありますが、今回は自分とエンジニアのマンツーマンでスタジオに入って自分の声と向き合うという。その作業に時間を費やしました。

――今までとは何か違う感覚や発見はありましたか?

【佐藤】 いろいろ試すことができました。基本的には自分だけなので、こういう発声したらどう響くのだろうなど無限に追求できるので、ひたすら没頭していました。

――やりがいや楽しさは?

【佐藤】 やりがいはありましたが、楽器と同時で大変な部分もありました。レコーディングに関しては経験も少なく手探りだったので大変でした。

――町田さんは映画『太陽とボレロ』でトランペット奏者を演じていましたが、ギタリスト役では雰囲気もかなり激変していました。演じる上で参考にした方や作品はありましたか?

【町田】 いろいろなギタリストの方を参考にしているのですが、なかでもONE OK ROCKのToruさんは近しいもの、Takaさんとの関係を深めて高岡とも通ずるところがあるなと思いました。職人の匂いがするというか。ヒントになることを吸収できたらと、人づてにお会いしてお話させていただきました。海外アーティストを見たり聴いたりもしました。

――役作りにどう取り入れたのでしょうか?

【町田】 ギタリストとしての動きもありますが、高岡がどう演奏するかという方向から原作や台本、健君がやっている藤谷や志尊がやっている坂本を見て、そこにいる高岡ってどういう感じなのだろうなというところで、合うプレイスタイルをギターの先生たちと相談しながらやりました。

――志尊さんは演奏シーンでのコミュニケーションを大切にされながら演じたとのことですが、映画『覆面系ノイズ』以来約8年ぶりにバンドメンバーを演じてみて気づいたことはありましたか?

【志尊】 バンドと一概に言ってもさまざまで、受け取り方も違えばストーリーも違うしキャラクターも違うので毎回新鮮な気持ちです。今回は作品でこんなに向き合う時間ってあったかなと思うぐらいみんなと一緒にいたし、バンドとして表現しなきゃいけないものを3人で話し合ったりもしました。

――どのような話を?

【志尊】 バンドを経験したことないからわかりませんが、健が毎回「こうしたいだけどどう思う?」と聞いてくれて。そういう作り方はある種フェイクドキュメンタリー的で、役と本人たちの狭間で追求していた部分はあると思います。

――ストーリーが進む中で結成から成長へとつながっていきますが、そのあたりの雰囲気はどう表現されたのでしょうか?

【志尊】 自然とですね。役の距離感が近づいていけば近づいていくほど見せられる表情も変わってきます。坂本はプロとしてバンドでデビューしたことがないキャラクターだからこそ、最初のバンドのシーンと最後のバンドのシーンで作るものはもちろん違ってきます。そこに関しては時間やコミュニケーションを重ねていく過程で変わっていった感じですね。

■「野田洋次郎の力は絶対に必要」 佐藤が明かす楽曲決めの裏側

――RADWIMPSの野田洋次郎さんやONE OK ROCKのTakaさんほか、楽曲提供されているアーティストも豪華ですが、楽曲決めに関するエピソードを聞かせてください。

【佐藤】 野田洋次郎の力は絶対に必要だとは思っていました。洋次郎に最初に話をしに行きましたが、物語的にも大事なところ、コアとなるところをお願いしました。他の楽曲は監督やスタッフたちとめちゃくちゃ聴きまくって、ディスカッションをして、徐々に徐々に決めていきました。

――その過程でもし可能なら、ここだけの逸話みたいなものは……?

【志尊】 俺ありますよ。クランクイン前に健にご飯に誘われて行った時、クランクインに向けて色々話せるのかなと思っていたら、食事中ずっと曲のデモを聴き続けていて、気づいたら何も話さずにご飯が終わっていました。これは今だから言えます。オリコンさんに初出しですよ(笑)

――ありがとうございます!(笑)。ところで藤谷が“ロック界のアマデウス”と呼ばれていることにちなみ、皆さんがご自身を“●●界のアマデウス”(神に愛された者)と称するなら何でしょうか?

【佐藤】 ボードゲーム界のアマデウスかな。誰も知らない、僕も知らない初見のルールを聞いて勝つ方法を見つけるのが得意というか、わかっちゃうんですよね。

【町田】 確かにめちゃめちゃ強いイメージはある。

【志尊】 健はそういうところに行くと、みんなに考えさせる余裕を作る。答えがもうわかっているのに「う~ん……」って考えるふりして、みんなが一生懸命やっているのを楽しそうに見ているんです。

【佐藤】 みんなで楽しみたいじゃない。

【志尊】 それがいいよね。

――そんな志尊さんは?

【志尊】 乗り物界のアマデウスです。新幹線とか飛行機とかギリギリに行きたいタイプで、新幹線のベストはエスカレーターを降りたら扉が開いていて乗り込んだら閉まる。飛行機も、国内線は40分前、国際線だったら1時間前の時間にしか行きたくないんです。

――具体的には?

【志尊】 地方で日帰りするとき、絶対間に合わないと誰もが思っても間に合わなかったことがないんです。例えば18時の便だとして、17時20分に空港に着かなきゃいけないけど撮影は17時まで。そこから40分かかる場所だと間に合わないけど、俺は間に合うと思っているんです。しかもそのときは撮影が17時40分に終わったのですが、飛行機が遅延していたので間に合いました。

【佐藤】 そのときの歩き方は大事だよね。必死になって行くのは違うでしょう。こっちはもう何もないです、気にしてないですと歩いているのに、勝手にドアが合わせてくれるみたいなことだよね。

【志尊】 そう!ギリギリ攻めた計算をするのが好きで、ハマるとうれしい。

【町田】 このあとか(笑)。握力かな。体育大に通っていたのですけど、大学に入ると全員体力テストがあって。柔道部やラグビー部のそうそうたる握力の猛者たちがいる中でやった握力測定、何位だったと思います?1000人くらいいたけど1位でした。

【佐藤】 それはアマデウスだわ!どのぐらいだったの?

【町田】 その時は利き手じゃない方で80ぐらいありました。審査する人が「えっ!?」ってびっくりしていたし、記録を言ったら柔道部の人が全員振り向きました(笑)。

【佐藤】 リンゴ一撃だ。

【志尊】 啓太が急に怖くなってきた。

【町田】 だから撮影中、ギターを潰さないか不安でした。

――最後に、バンドとして今後のプランやってみたいことがあれば教えてください。

【佐藤】 酵素風呂にみんなで入りに行きたいです。

【志尊】 それ全然連絡こないけど、いつやるの?

【町田】 なんならジムすら連絡こないけど。

【佐藤】 マッチーがジムとってくれるのを待ち。みんなで最初にジムに行ってめっちゃ追い込んで、そのままドライブで酵素風呂に行って埋められて、おいしいものを食べて帰りたいです。

【志尊】 それをやれたらもう解散でいいんだよね(笑)。

【佐藤】 そうそう(笑)。

【志尊】 まだその計画は動いていたんだね。もう消えたのかと思っていた。

【佐藤】 絶対やるよ。

【志尊】 あと富士急も行きたいって話もしてたよね。

【町田】 もう目標というより遊びだよね(笑)。 

――実現することをお祈りしております。

【佐藤】 ありがとうございます。応援してください(笑)。