「HOPPY+SSFF & ASIA」新作ショートフィルム『宇宙飛行士からの手紙』、主演・前田吟「短くても十分伝わる!」魅力語る

 『ショートショート フィルムフェスティバル & アジア(SSFF & ASIA) 2025』アワードセレモニー内で「HOPPY HAPPY AWARD」授賞式が11日、東京・LINE CUBE SHIBUYAで行われ、第5回「HOPPY HAPPY AWARD」に香月彩里監督の『さんぽ道/A Walk With You』が受賞したことが発表された。さらに昨年第4回HOPPY HAPPY AWARDを『十日と永遠/10 Days to Eternity』で受賞した倉田健次監督が手掛けた『宇宙飛行士からの手紙』(ショートフィルム専門のオンラインシアター「HOPPY HAPPY THEATER(ホッピーハッピーシアター)」にて、きょう11日より公開)で主演を務めた前田吟、堀海登が登壇し、ホッピービバレッジ株式会社・代表取締役社長・石渡美奈氏と共に見どころを語った。

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 「HOPPY HAPPY AWARD」は、日本人監督のノミネート作品の中から「Be HAPPY with HOPPY」を掲げるホッピーの思いを体現するショートフィルムに贈られる賞。受賞作品は、SSFF & ASIAとホッピー社が共同で手掛けたオンラインでショートフィルムを無料鑑賞できるWebサイト「HOPPY HAPPY THEATER」にて配信。さらに受賞監督には賞金50万円のほか副賞として、次に「HOPPY+SSFF & ASIA」が製作するショートフィルムを監督する権利が授与される。

 昨年第4回HOPPY HAPPY AWARDを「十日と永遠/10 Days to Eternity」で受賞した倉田監督が手掛けた『宇宙飛行士からの手紙』が今年の映画祭で特別上映された。

 本作は、ホッピー発売から77年。ホッピー配達人のオサダさん(前田)も77歳。彼の楽しみは仕事終わりに大好きなお店でホッピーを飲む事。ある日、オサダさんは店主たちに引退を告げると共に懇願する。「人生を振り返ってみたら僕には何もありませんでした。だから僕に、人生の楽しみ方を教えて下さい」。始まるオサダさんの人生レッスン。店主たちは感謝祭を計画するもオサダは現れない。待つ間、店主達はオサダさんの逸話を語り合っていく…という物語だ。

 企画のあらましについて石渡社長は「弊社ホッピービバレッジの創業120年、そしてホッピー発売77年という節目の年になりました。その記念作品という位置づけでホッピーの“瓶”に注目しました」と前置きすると「創業者である祖父、そして父も亡くなるとき、ホッピーの瓶をまるで子供がぬいぐるみを抱っこするように抱えて旅立ちました。そんな原体験プラス、現代のサステナブルの観点から地球温暖化を止める一翼を担うのがガラス瓶だと考えました。ガラス瓶は、一度瓶になると、永遠に瓶でいられる。すごく環境に優しい容器です。この映画を通じて、皆さんの生活に中にあるガラス瓶への思いを見直していただき、共に地球温暖化について考えていきたいと思ったんです」と語っていた。

 さらに石渡社長は「もう一つのテーマとして、宇宙飛行士として飛び立たれたオサダさんのように、人は年をとればとるほど生きることが楽しくなる社会であるべきだと考えています。ホッピーの瓶が永遠に瓶でいられることと、オサダさんのいつまでも主役でいられる人生を重ね合わせ、監督に台本を作っていただきました。前田さんが主役を受けてくださり、本当にうれしかったです」と、作品に込められたもう一つの意味合いを述べていた。

 主演を務めた前田は、「僕は(『男はつらいよ』の諏訪)博として25歳から75歳まで一つの役を50年以上も演じてきました。長いのはちょっと嫌だなと思っていたら、石渡社長から『短いのがあるよ』と言われたんです。倉田監督の前作『十日と永遠/10 Days to Eternity』にも出演させていただいたのですが、その時すごく感動して。短くても十分伝わると思い、この作品にも出演させていただきました」と出演理由を述べると「今回77歳の役だったのですが、私はいま81歳なので、ちょっと若返らなければいけないなと思っていたんです」とちゃめっ気たっぷりに回答し客席を笑わせていた。

 前田演じるオサダの跡を継ぐ役を演じた堀は「撮影期間中を含め、前田さん演じるオサダさんから、言葉やセリフだけではなく、声や仕草、表情など、めちゃくちゃ愛をいただきました」と感謝していた。

 前田は「出てくる皆さんが本当に優しいんです」と温かな気持ちになれる作品であることを述べると「私の女房(箱崎幸子)は歌手なのですが、ちょっとだけ作品に出ているので、探していただきたい。その女房に特訓を受けた歌をうたっていますので注目してください」と作品をアピールしていた。

 また受賞式後半では、第5回「HOPPY HAPPY AWARD」を『さんぽ道/A Walk With You』で受賞した香月彩里監督が登壇。香月監督は、ミュージカル俳優として活動しており、コロナ禍を機に映像制作を始めたという。

 受賞を聞いた香月監督は「胸がいっぱいです。ありがとうございます」とあいさつすると、作品について「人は散歩をするとき『この道は良い道だ』とか『この道を通れば何かが得られる』なんてことを考えずに、ただ歩きたい道を好奇心のまま歩くものだと思います。そんな風に人生を生きられたら、すごく楽に生きられるのかなと。私はこの映画を作りながら、あなたが歩きたいと思って歩いた道は、いつだってパーフェクトだよと誰かに言ってほしくて作ったのかもしれません」と作品に込めた思いを語っていた。