ディズニーの人気アニメーション『リロ&スティッチ』が実写映画化され、世界中で話題を呼んでいる。再びスティッチ旋風が吹き荒れるなか、本作のプロデューサーであり、製作会社ライドバック共同CEOのジョナサン・アイリックが、実写化を成功へと導いた舞台裏について語った。
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■スティッチの“声”を守る──クリス・サンダースの起用
スティッチの声を務めたのは、アニメーション版と同じクリス・サンダース。スティッチの生みの親でもある彼の起用は、プロジェクトの核でもあったという。
「クリスはまさにスティッチの生みの親で、彼がもともとスティッチを描きました。そして彼がオリジナルの映画の脚本を書き、監督した経緯があります。その後、彼が制作陣として関わっていない作品でも、クリスは常にスティッチの声優としてキャラクターに関わり続けていました。つまり、彼こそが『スティッチ』なんです。とにかく、ファンのためにも新作に彼が必要不可欠でした」と語るアイリック。
完成したCG版スティッチを最初に見せたのもクリスで、「彼が納得したときの安堵感は忘れられません」と振り返った。
■“自然に溶け込むスティッチ”──VFXの挑戦
スティッチのVFXは、ILM(インダストリアル・ライト&マジック)が担当。実写版の監督ディーン・フライシャー・キャンプは「かわいさは自然の中に宿る」と考え、動物たちの動作や質感を徹底的に研究。
「スティッチの目を表現するために、最終的にアザラシの子どもの目にたどり着きました。ウサギの耳や、アルパカの毛皮もVFXの参考にしました。自然界にいてもおかしくないスティッチができるまで、長い道のりでした」(アイリック)
■なぜスティッチは愛され続けるのか?
アイリックは、「観客はトラブルメーカーに共感する。完璧でない存在だからこそ、スティッチは愛される」と分析。
日本での人気については、「日本は、宮崎駿をはじめ、アニメーションの豊かな歴史をもち、多彩なキャラクターデザインが生まれてきた国です。そうした文化的背景があるからこそ、たとえ異なる文化圏から生まれたスティッチのようなキャラクターでも、親しみをもって受け入れられるのではないでしょうか」と語った。
さらに、今回の実写化によって、日本でスティッチ人気が再燃していることにも触れ、「私はこの18ヶ月の間に日本に2回渡航しましたが、1回目より2回目の時の方が、はるかに多くスティッチを見かけました。日本の観客の関心が高まっているのを感じてうれしく思っていました」と、日本でのヒットを確信していた様子。
最後に、日本のファンへ向けて次のようにメッセージを送った。
「この映画には、アニメ版への敬意と新たな世代へのメッセージが込められています。ぜひ大切な人と一緒に観て、“オハナ”の心を感じてください」