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西島秀俊、「人ってなんだろう」を観客と一緒に探究し続けていく Apple TV+『サニー』インタビュー

 動画配信サービス「Apple TV+」で10日より世界同時配信がスタートしたドラマ、Apple TV+『サニー』に、主人公スージー(ラシダ・ジョーンズ)の夫、サカモト・マサヒコ/マサ役で出演する西島秀俊。Appleのためにハリウッドで最も勢いのある映画会社「A24」が製作した話題作でハリウッドデビューを果たした。

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――主演された映画『ドライブ・マイ・カー』(濱口竜介監督)が「第94回アカデミー賞」国際長編映画賞を受賞したのが2022年3月。どんどん新しい世界へ羽ばたいていかれますね!

【西島】まったくそんな実感はなくて(笑)。『ドライブ・マイ・カー』でカンヌ国際映画祭に行った頃に、『サニー』のショーランナー、ケイティ・ロビンスさんと、監督・製作総指揮のルーシー・チェルニアクさん、主演・製作総指揮のラシダ・ジョーンズさんらとオンライン・ミーティングをしたのが始まり。その後、ロサンゼルスで3人にお会いして、本当に才能があって、情熱があって、何より人間的に素敵な人たちだったので、ぜひご一緒したいと返事させていただきました。『ドライブ・マイ・カー』後というよりは、同じタイミングで起きていた感じです。

――映画やテレビドラマにも出演されていて、いつ撮っていたの!?と驚きました。

【西島】ほかの作品と並行しながら『サニー』も撮っていました。じつは、『サニー』に関しては、主人公の女性の回想シーンに登場するだけだと思っていたんです。それが、ありがたいことに、マサのいろんな面を描いてくれて、結果的に役が大きくなっていきました。作品に関わる度合いみたいなものが、最初の頃よりどんどん大きくなっていったんです。

――主人公のスージーは日本でマサと出会い、結婚。京都に住んでいましたが、謎の飛行機事故で夫と息子を失くし、人生が一転しまうところから物語は始まります。自暴自棄になっているスージーのもとに、「お見舞い」として届けられたのは、夫が勤めていた電子機器メーカーが製造したという新型家庭用ロボット「サニー」。ロボット嫌いのスージーは、最初こそ気味悪がって邪魔者扱いしていたが、やがてふたりの間に予想もしなかった友情が生まれていきます。一方で、自分がいなくなることを予想して夫はサニーを用意していたのか?という疑いが湧き起こり、スージーは夫の知られざる一面を探ろうとして、恐ろしい世界への扉を開けてしまう。

【西島】マサはどういう人だったのか、実のところよくわからない。本当は悪い人かもしれない、何か悪事に手を染めているのかもしれない、そういう疑念が、主人公を動かし、物語の推進力になっていく。そんなマサを演じるのは楽しかったです。一つの役でいろんな面を出すことができたのでとても面白かったです。

■「A24」らしいエッジの効いた「挑戦的な作品」に

――ここ数年で、日本でも急速に名を知られるようになった「A24」ですが、エッジーなラインナップのイメージがあります。なので『サニー』もそういう先入観を抱いてしまうのですが…。「A24」らしい作品としての手応えは?

【西島】「A24」は常に刺激的で、見たことがないような、新鮮な驚きがある作品をつくっているイメージを僕も持っていましたが、『サニー』はまさに「A24」らしい作品になっていると思います。『サニー』ってどんなドラマですか?と聞かれたら、ロボットが出てくるSFであり、サスペンスで、ホラーで、ダークコメディで、でも深い人間ドラマがあって、と全てがごった煮になっているような作品としか言いようがない。とても挑戦的な作品だと思います。

――オープニングで使用されている渥美マリの「好きよ愛して」をはじめ、昭和歌謡が新鮮でした。

【西島】60年代、70年代の文化と、その頃イメージしていた未来、レトロフューチャーの美学でつくられています。

――その象徴が家庭用ロボットの「サニー」ですね。共演した感想は?

【西島】撮影に入る前は、きっとグリーンのバスケットボールか何かを相手にお芝居をするんだろうな、と思っていたんです。サニーはCGなのかなって。それはいい意味で裏切られて、実物のサニーがいたばかりか、サニー役のジョアンナ・ソトムラさんがリアルタイムでリアクションしていたんです。すごく悲しそうな顔をしたり、そっと触れてきたりされると、自分が想像していたよりも遥かに心揺さぶられるものがありました。本当に純粋な子どもと対峙しているような不思議な気持ちになって、ロボットであることを忘れる瞬間がたくさんありました。

 それは、人間の元々持っている本能なのかもしれない。特に人間の形をしたものには魂が宿るという考えも多分にあって、サニーに会った人はみんな本当に驚くし、サニーが笑えば笑顔になる。サニーのようなロボットがいる未来を目の当たりにした感じでした。

――演技の道に進んだばかりの頃は、サニーのようなロボットと共演することになるとは想像もしなかったのでは?

【西島】そうですね。全く想像しなかったですね。

――この先も、想像もしていなかったことが起こると思いますが、それでも何か期待していることはありますか?

【西島】今回のドラマにも、ロボットと人間との交流であったり、孤独な人間同士の出会いであったり、人と人のつながりであったり、裏切りであったり、喪失と再生であったり、いろいろなテーマが含まれていますが、それらを突き詰めて、ストーリーを重ねていくと、最終的には人とは何か、というところにぜんぶ集約されるような気がするんです。これからも、僕は演技をしながら、人ってなんだろう、人って不思議だな、人って本当に計り知れないものだな、という思いに向き合って、観客の皆さんと一緒に探究し続けていくのかな、と思っています。今後も、心も体もできるだけ健康に過ごしながら、一本一本大事にやっていきたいと思います。