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二階堂ふみドラマ『Eye Love You』にみる時代の変化と「5年で約4兆円」のインパクト 坂口孝則解説【連載】『オリコンエンタメビズ』

 日々話題を集めるエンタメニュースも、経済目線で知ればもっと面白くなる。そこで『ORICON NEWS』は、エンタメをこよなく愛する経営コンサルタント・坂口孝則氏に、エンタメにまつわるニュースを経済視点で解説してもらう連載企画『オリコンエンタメビズ』を開始した。今回は、俳優の二階堂ふみが主演、韓国のチェ・ジョンヒョプが共演するドラマ『Eye Love You』(TBS系)をフックに、韓国のエンタメ経済の現状を解説してもらった。

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■韓流コンテンツが韓国国内にもたらす経済波及効果

 TBS系恋愛ドラマ『Eye Love You』が話題です。出演は二階堂ふみさんと、韓国のチェ・ジョンヒョプさんです。

 原稿執筆時点では4話まで公開されています。Netflix等でも視聴可能です。事故をきっかけに目が合うと他人の心を読めるようになった会社社長の侑里(二階堂さん)を主人公に、韓国からの留学生でインターン生のテオ(チェ・ジョンヒョプさん)を中心に展開します。侑里は人の心が読めるばかりに、生きづらさを感じ、仕事にまい進。そこに、心の曇りなくストレートに侑里への愛情を伝えるテオが、あまりにピュアで視聴者の心をつかんでいます。

 心を読めても、韓国語だからよくわからない、という設定のうまさ。もどかしさ。過去への固執、トラウマとの決別。横恋慕。笑える要素、はらはらする展開……。とにかく面白いので見てほしい、としかいえません。

 ところで、前述のとおり、これはTBSの製作であり、韓流ドラマではありません。ただ、要素として韓流に影響を受けているのはあきらかです。なによりも、主人公の相手役が韓国人俳優である点をとっても、なるほど時代は変わったと思わざるをえません。

 以前、韓流ドラマといえば『冬のソナタ』が大ヒットし、日本でも多くのファンを獲得しました。そのころから韓流ドラマは知名度を獲得し、ドロドロとした愛憎のプロットでも特徴づけられました。しかしそれは『愛の不時着』あたりから、特定層に限らない人気を博するようになりました。

 中年の私ですら、『イカゲーム』『梨泰院クラス』は当然として、ここ最近だけでも『社内お見合い』『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』『ザ・グローリー~輝かしき復讐~』『マスクガール』『ペントハウス』『サイコだけど大丈夫』『セレブリティ』『今、私たちの学校は…』『キム秘書はいったい、なぜ?』などを見てきました。恋愛ものはストーリーがわざとらしい、といってはそれまでですが、練りに練った展開を用意し、さまざまな見どころや要素を混ぜ込み、もはや大衆芸術に昇華しています。

 話が変わるようですが、20年前に私が20代のころ、新興国を旅行したときに気づいたのは、現地語で書かれた書籍がほとんど存在しない事実でした。中国くらい人口が多ければまだしも、多くの国では人口サイズが小さく書籍がビジネスとして成立しません。

 韓国のGDPは約1兆8000億ドル≒270兆円ほどです。日本のGDPは560兆円ほどですので、規模としては日本のほうが大きいことがわかります。そして韓国の人口は約5100万人です。

 日本は自国民の数が多く、日本人向けのみを意識してもビジネスが成立します。なお、先進国で人口1億人を超えているのは、日本と米国のみです。しかし韓国はそうではありません。韓国は自国だけでは食って行けず、輸出に頼っています。日本と米国は輸出の比率が低いのに(15%と8%)、韓国は36%もあります。

 韓流ドラマが世界で闘っている理由は、そもそも世界で闘うしかなかったからです。K-POPもはじめから外に出ていかねば生き残る道はありませんでした。そして現在、韓流ドラマ等のコンテンツで韓国国内に生じた経済波及効果は5年で約4兆円にいたります。卒倒する額です。しかもコンテンツは備蓄されていきますので、今後も韓国に富をもたらすでしょう。

 それにしても、と思うのです。冒頭の『Eye Love You』では侑里は他者の心を読めました。もし、同ドラマの女性視聴者の心を読んだら、どういう感想を抱いているでしょうか。男性視聴者で私のように好意的な感想をいだく人は多くないかもしれない。ただ好意的であれ、否定的であれ、見て、つい話題にするコンテンツはSNS時代にふさわしいといえるでしょう。

■プロフィール
1978年生まれ。福岡放送『めんたいワイド』(隔週)、TBSラジオ『日本リアライズpresents 篠田麻里子のGOOD LIFE LAB!』など出演。日本テレビ系『スッキリ』木曜コメンテーターも担当していた。趣味はメタルのライブに行くことで、音楽をこよなく愛する調達・購買コンサルタント、講演家。未来調達研究所株式会社所属。大阪大学経済学部卒業後、電気メーカー、自動車メーカーに勤務。原価企画、調達・購買に従業。現在は、製造業を中心としたコンサルティングを行う。著書は『牛丼一杯の儲けは9円』『営業と詐欺のあいだ』『未来の稼ぎ方』『製造業の現場バイヤーが教える 調達力・購買力の基礎を身につける本』『調達・購買の教科書』など。直近で『買い負ける日本』(幻冬舎刊)を発売した。