「おふくろの味」食品サンプル、お盆に帰省できない人々が共感…会えないからこそ募る母への感謝

 ワクチン接種が進んでいるとはいえ、故郷への帰省をためらう人も多い昨今。そんな中、長らく味わえていない母親の手料理を再現した食品サンプルの写真がTwitterで話題に。「再現度高い!」「ほっこりした」「そうやって母を想う、それだけで親孝行」などと多くの反響が寄せられた。投稿者は、Webライターとして活動しながら、身の回りの物を使った“雑コスプレ”の投稿なども行っているたかやさん(@tky888tky)。“おふくろ味食品サンプル”制作のきっかけ、長らく会えていない母への思いを聞いた。

【写真】「お母さんに会いたい…」再現率がすごい”おふくろの味食品サンプル”ほか、たかやさんのおもしろ作品

■帰省できない寂しさで作った食品サンプル、「親に会いたくなった」と反響続々

――“おふくろの味”の食品サンプルが大きな反響を集めましたが、この投稿をしたきっかけは?

【たかやさん】今年の4月に『トゥギャッチ』というWebメディアの編集部と「次の記事は何を書こうか?」と話し合いをしていました。その頃、東京都は3回目の緊急事態宣言が発令される直前で、「今年のGWも帰省できそうにないなぁ」「親のご飯、もうだいぶ食べてないなぁ」と考えていたんです。長らく帰省できずに寂しい思いも募っていたときに、“おふくろの味”を食品サンプルにすれば、帰省せずとも親の料理を自宅で愛でることが可能かも? と気づき、『おふくろの味食品サンプル化計画』がスタート。Twitterにも投稿しました。

――反響についてはどのように感じていますか?

【たかやさん】フォロワーの方々から、「私もだいぶ帰省できていません」「親に会いたくなった」といったコメントや、僕の学生時代の友人のお母さんからも「良い親孝行だね」と感想をもらいました。樹脂粘土で何かを作るのは初めてだったので拙い作品でしたが、いろんな方からお褒めの言葉をたくさんいただき、本当に嬉しかったです。

――お母さまからの反応は?

【たかやさん】「そっくりじゃん!」と喜んでくれました。「もっと料理の写真送るなぁ」「次はこんな料理作ろうと思うんだけど」と、母の“料理魂”に火がついたのが面白かったです。妹もすごく感動してくれて、それだけでこの食品サンプルを作った甲斐があったと思います。母も好きですが、妹のことも超好きなので。

――食品サンプルを作るうえで、まずはお母さまに見本の料理を作ってもらったんですよね?

【たかやさん】そうですね。「料理を自由に作ってほしい」「料理の写真を送ってほしい」と電話でお願いしました。写真が届くまでの間、僕は食品サンプルの作り方をプロの樹脂粘土家のブログやYouTubeチャンネルで勉強し、実際に「樹脂粘土の目玉焼き」を作って練習して。せっかく母親が息子のために料理を作ってくれる以上、こちらも万全な体勢で臨まねば失礼なので。そして約1週間後、届いた写真をもとに樹脂粘土で再現していきました。

――制作する上で、特に苦労したポイントは?

【たかやさん】母の“料理魂”に火をつけてしまったことですね。写真が届く前は「1品ぐらいかな」と想像していたのですが、息子からの久々のお願いで母も舞い上がったのか、5品も作ってくれて本気でビビりました。なので、当初予定していた制作スケジュールが5倍に延びたのが一番苦労したところです。今年のGWは一切外出せずに、粘土と格闘していました。

――実際に作るのは大変でしたか?

【たかやさん】僕は食品サンプル作りの素人なので、試行錯誤の繰り返しでした。粘土が思い通りの形にならないし、本物通りの色味もまったく出せないし…。つまずいたらYoutubeチャンネルを観て、「オムライスの表面はこうやって作ればいいのか」「こんなにクオリティ高くできるの? すげー!」とプロの樹脂粘土家の方の技術と発想に感動していました。

――出来上がった食品サンプルを前にして、食事をしていましたが。

【たかやさん】“おふくろ味食品サンプル”の前で白米を食べると、定食屋で先にライスだけが出てきて料理を待っている感覚になります。「そろそろお母さんの料理が出てくるぞ…」とワクワクした気分のまま米が進みました。

■「そろそろ帰りたい…」、会えないからこそ感じる実家のありがたみ

――たかやさんは現在どのくらいの期間、帰省していないのですか?

【たかやさん】実家の長野県に最後に帰省したのは、2020年の9月頃です。もちろん、中にはもっと長い期間、帰省ができていない人もいると思いますが…。でも、やっぱりそろそろ帰りたいですね。

――今回、お母さまに対してあらためて感謝の気持ちが生まれたのでは?

【たかやさん】「親のレシピ」をちゃんと知ることができたのが大きいです。例えば、餃子の具を包む前にタネを調味料で作るのが母流…みたいなことを、写真と一緒に母がコメントしてくれたんです。“母と息子あるある”だと思いますが、これまで母親に料理のこだわりを聞く機会がなかったので、この歳になって初めて親の料理について知ることができました。情けないやら嬉しいやらです。

――母親の料理って、やっぱり特別ですよね。

【たかやさん】一人暮らしだと自炊もおざなりになり、普段はあまり料理をしない生活を送っています。だから、今回実家のご飯がどれだけしっかりしていたかを再確認できました。母からの写真を見たときも、「天ぷらをこんなに作ってくれている!」とか、「肉じゃが、野菜の下ごしらえ大変だったろうな」とか、「餃子、手包み~(泣)」などと感じました。例えばオムライスも、一回の料理にケチャップを大さじ1杯以上使うから、もったいなくて僕は敬遠しちゃうんです。でも、実家にいた頃はオムライスもバンバン作ってくれていたので、「実家ありがてぇ~(泣)」となりました。

――気軽に会うことができなくなって、改めて感じた家族への思いは?

【たかやさん】一人暮らし生活は楽しいし不便もないですが、さすがにそろそろ誰かと食卓を囲んでご飯を食べたいです。地元のローカル番組が流れるリビングで、みんなでカレーやトウモロコシを食べたいです。とにかく実家が恋しいです。今は“実家にありがちアイテム”の食卓カバーすら恋しくなっています。

――連絡は頻繁に取っているのですか?

【たかやさん】LINEや電話で連絡を取っていますが、やっぱり直接顔を見ないと元気かどうかわからないですよね。それは向こうも同じだろうし…。あと、実家の老猫に会いたい気持ちが強いです。母が定期的に猫の写真を送ってくれるんですが、そろそろいい歳なのですごく会いたいです。

――緊急事態宣言が発令されましたが、やはりこの夏も帰省はしない予定でしょうか?

【たかやさん】そうですね。もともと7月に帰省するつもりでしたが、現在はなんとも言えない状況です。今も親と帰るタイミングを相談中ですね…。この寂しさは、食品サンプルで誤魔化そうと思います。

――帰省するかしないかで悩む人も多いと思いますが、どう思っていますか?

【たかやさん】帰省は不要不急の行動に含まれていますが、やむを得ず実家に帰らねばいけない方もいらっしゃるかもしれませんし、難しい問題ですよね…。とりあえず、“おふくろの味食品サンプル”を作るのはどうでしょうか。

――なるほど! 帰省できなくても、少しは気がまぎれそうですね。最後に、同じく帰省できずに寂しい思いをしている方に伝えたいことは?

【たかやさん】「おふくろの味食品サンプル」を作ると、帰省せずとも実家の気分を味わえます。樹脂粘土の材料は100均でも揃いますよ。自分もまだまだ樹脂粘土は素人なので、母の料理を完璧に再現するべく精進していきます。お母さん、だ~い好き!