洋楽プロモーターが窮状訴え 10社で619公演・363億円逸失も補償対象外

 昨年2月から1年、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、エンタメ業界が未曾有の苦境に立たされている中でも、洋楽プロモーター各社が最大のピンチに直面している。昨年2月26日から今年1月31日までの延期・中止となった公演は、コンサートプロモーターズ協会(ACPC)関東圏の正会員10社合計で619公演(延期350/中止269公演)。逸失した売上はチケットだけで約363億円にのぼる。

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 今回、声をあげたのは、ACPCの関東圏正会員、ウドー音楽事務所、エイベックス・エンタテインメント、M&Iカンパニー、キョードー東京、クリエイティブマンプロダクション、スマッシュ、HIP、阪神コンテンツリンク、プロマックス、ライブネーション・ジャパンの10社。

 昨年2月26日から今年1月31日までに中止・延期となった来日公演は、アヴリル・ラヴィーン、ビリー・アイリッシュ、ボブ・ディラン、バート・バカラック、ブライアン・ウイルソン、グリーン・デイ、アイアン・メイデン、ケミカル・ブラザーズ、BTS、iKON、東方神起、ミュージカル「RENT」など。

 さらには、『フジロックフェスティバル』『スーパーソニック』『KNOTFEST JAPAN』『DOWNLOAD JAPAN』『GREENROOM FESTIVAL』といった大型フェスにも影響が及び、トータルの逸失売上は約363億円。これはチケットの売上のみで算出したもので、飲食やグッズなどを含めると、さらに逸失額は大きくなる。

 新型コロナウイルス感染症の影響で延期・中止した国内アーティスト公演の主催事業者への救済措置は取られつつあるものの、洋楽プロモーターは蚊帳の外だった。

(1)コンテンツグローバル需要創出促進事業費補助金(通称「J-LODlive」)
 新型コロナウイルスの影響で公演を延期・中止した主催事業者に対し、今後実施するライブ公演の開催及び、その収録映像を活用した動画の制作・配信の費用の一部を補助するもの

→海外アーティストの来日公演は対象外で洋楽プロモーターは申請不可能

(2)イベント開催制限の段階的緩和
 感染対策をとったうえで、上限5000人、かつ、収容率50%以下でのチケット販売

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 こうして昨年2月末からコンサートを開催できず、政府から何の補償もなく、興行保険も下りない状態で1年が過ぎた。独自で耐え続けるのも限界を迎えている。

 各社は「このままでは洋楽プロモーターは廃れていって、音楽の鎖国状態になりかねません。日本はアジアにおいては最も多くの海外アーティストの来日があるので、国外からも多くの人々が集まってインバウンドの増加につながっていました。特に『フジロック』と『サマーソニック』はアジアで最も知られている大型フェスとして羨望の的になっています。そのような海外に通用するコンテンツがなくなる危機にあるのです」と危機感を募らせる。

 そして「海外アーティストの公演も日本の文化の発展に大きく貢献しているものとして、その主催者を補助の対象にできないものか」と補助金制度の見直しを働きかけている。