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「粘着テープでぐるぐる巻き」心も体も傷ついた保護猫、幸せな一歩を踏み出すまでの5年

 猫の殺処分ゼロを目指し、日々活動を続けるNPO法人『ねこけん』。『ねこけん』のブログでは、猫を保護した際のリアルな状況、悲惨な姿まで隠すことなく伝えており、多くの読者に動物愛護の必要性を問いかけている。ブログで語られた猫たちの様子を、代表理事・溝上奈緒子氏の言葉とともに紹介する。

【写真】「涙腺崩壊!」傷つき人を信じられなくなった次郎、心を開いた奇跡の瞬間

■粘着テープでぐるぐる巻き、虐待された“次郎”の心と体の傷

 その事件が起こったのは、2015年のこと。東京・豊島区の公園で、粘着テープをぐるぐる巻きにされた猫が見つかった。犯人は、猫を飼おうと野良猫を捕まえたものの、逃げ回るので粘着テープでぐるぐる巻きにして、それでもおとなしくならないのでトンカチで叩いて公園に放置したという。猫はすぐに愛護センターへ移送されたが、目白警察署の協力により、あらためて『ねこけん』が保護。その猫は次郎と名付けられ、ずっと『ねこけん』で見守られてきた。

 その後、次郎がブログに登場したのは2年後のことだった。殴られた後遺症で首が傾き、片方の目は小さく、視点が定まらないまま。そんな次郎の傷は体だけではなかった。虐待という恐怖の体験から、すっかり人間に心を閉ざしていたのだ。2年もの間、次郎の引きこもり生活は続いていた。

 しかし、『ねこけん』メンバーによる懸命な努力が少しずつ実っていく。人がいても隠れないようになり、お尻をツンツンさせてくれるまでになった次郎。ただし、「心についた傷はなかなか癒えません。人間への恐怖心を取り除くには、とても時間がかかるんです」と溝上氏。表面上の傷はいずれ治るが、心についた傷を治すには非常に時間がかかる。「記憶の上書きをしていくしかないんです。人間は優しい、あなたを傷つけないということを次郎に知ってもらうために」。

■傷ついた心が癒えるまで、じつに5年の月日を要した

 その後のブログでは、次郎が溝上氏になでられるという“奇跡”が起こった日のことが記されている。少し体を固くしながらも、体、頭、あごをなでられる次郎。そんな次郎の変化は「涙腺崩壊級にうれしい瞬間」だったという。そのときの写真を見ると、確かに目の表情が違う。恐怖におびえる目ではなく、好奇心に満ちた目。『ねこけん』のメンバーに保護され、治療を受けても、人間への恐怖心はなかなかぬぐえなかった。やっと一歩を踏み出すことができた。だが、次郎が新たな家族を作るまでには、まだまだ遠い道のりが残っていた。

 そんな次郎だったが、最近、「ミーナちゃん(『ねこけん』出身の猫)の家族の方が、次郎くんが気になっているということで、やっと家族が見つかりました」との報告があった。次郎の虐待事件が起こってから5年。傷ついた心が癒えるまで、じつに5年の月日を要したのだ。

 「次郎くんもやっと家族ができて幸せになることができました。急がなくていいんです。ゆっくりでいいから幸せになって欲しいというのが私たち『ねこけん』の願いでもあるんです」。

 今、次郎は新たな家族とともに、幸せな生活を送っているという。

(文:今 泉)