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「もう“画伯”とは呼ばせない」SNSで話題、レベル1でもうまく描ける“イラスト虎の巻”

『アメトーーク!』(テレビ朝日系)で「絵心ない芸人」がクローズアップされるなど、独創的すぎる絵を描く人が親しみを込めて“画伯”と呼ばれることも。独創的な絵ももちろん素敵だが、絵心がないために「絵を描くこと自体が楽しめない」「絵を描くのが苦手」という人は少なくないだろう。96こげさん(@xfoxyfox)は、TwitterやYouTubeを通じて、そんな人でも楽しんでイラストが描ける「レベル1でも描ける講座」を発表。わかりやすいイラスト共に、顔や手、関節などの描き方を発表し、誰もが「楽しくイラストを描けるサポート」を行っている。一体なぜ、このような講座を開くようになったのか?本人に話を聞いた。

■イラストとの向き合い方の変化が講座の始まり

――以前からTwitterでイラストの描き方をレクチャーする内容のツイートを行っていらっしゃいます。これらは、いつ頃から、どういったきっかけで始められたのですか?

【96こげ】幼いころ割と貧しい家庭に育ちましたが、イラストは紙と鉛筆があれば大丈夫なので思いっきりできる唯一の遊びだった気がします。学生時代に友人に頼まれたノベルゲームのイラストや、同人誌などを手掛けていましたが、家庭をもつことでイラストとの関わり方を変える必要がありました。子供が生まれると、話題のアニメや漫画をチェックして、SNSで交流して、自分の作品を描いて…という時間が確保できなくなり、同人活動をやめました。かれこれ5年ほどイラストから離れていたましたが、その間に「みんなが好きな作品を描く」以外にイラストと関われる方法を探していました。わたしなりに出した答えが「みんなの役に立つイラスト講座」です。これなら今のわたしでも、隙間時間でなんとかできるなと思って始めました。

――これまでご自身が会得してきた経験や知識を公開されているわけですが、なぜTwitterやYouTubeという誰もが見られるメディアを利用したのですか?

【96こげ】「学び」ではなく「興味」を優先したので無料で公開しました。私もそうなのですが「人は興味のないことを学ぼうとしない」と思っています。学校の授業で難しい問題を解くよりも、ゲームで難しいダンジョンを攻略するほうが頑張れました。これは「興味」の差だと思います。「自分で描くって楽しいかも」「これくらいなら自分でもできそう」とできるだけ多くの人に感じてもらいたかった。わたしと同じように「自分には才能やセンスが無い」と諦めてしまった人たちにも「まだ間に合うよ!」と伝えたい気持ちもありました。

■「講座を見て描いてみました」が一番うれしい

――「講座」を見てみると、テーマが多彩で実践的かつ「描き方」も順を追って、要点がまとめられ、わかりやすく描かれています。どのような点に気を付けて制作していますか?

【96こげ】「面倒くさい」と感じた瞬間に「あ、やっぱりわたしには無理」と思われてしまうので、「興味を持ってもらう」ために、試行錯誤し、できるだけ「面倒くさいこと」を削りました。知っている人は気がついていると思いますが、要点を抑えているようで、いろんな情報が抜け落ちています。でも講座の目的が「学び」ではなく「興味を持ってもらう」ことなので、そこはあえて削りました。

 講座の内容については、基本的には過去の自分の経験から考えています。過去の自分がどんなものに憧れて、どんなものを調べて、どんなものに困っていたのかを思い出しつつテーマを決めています。あとはみんなのイラストを眺めながら、誤魔化している部分をチェックして決めています。たぶん同じイラストを描く人間だからこそ、そういう細かい部分にも気がつくんだと思いますね。

【画像】これで絵心なくても大丈夫…「バックハグ」の描き方

――“バズった”「レベル1でも描ける正面の顔」をきっかけに多くの人がこの講座を知ることになりました。反響はいかがでしたか?

【96こげ】いろいろ試行錯誤して全力で取り組んでいたのに、1ヵ月くらい講座にまったく反応が無い時期がありました。やっぱり不安になるし、「みんなの役に立ってないなら止めたほうが良いのではないか?」とも思いました。でもあのツイートの反応を見て、「よかった、間違ってなかったんだ」とホッとしました。一番うれしかったのは「講座を見て描いてみました」という反響があったことです。それだけ描くことに興味を持ってくれたということですから。中には7歳のお子さんもいて、大好きなキャラクターを自分で描けるって楽しい!ということを体験できたかな?と一人で想像してニヤニヤしてました。これからもどんどん描いてほしいですね。

■今後「みんなが成長できる講座」へステップアップ

――“受講者”のなかには、絵が苦手で学校の美術の時間が苦痛だったという人も多いと思います。そういう人にも96こげさんの講座は届いているように思いますが、いかがですか?

【96こげ】日本の美術教育が何を目的としているか、私は知らないので何とも言えませんが、個人的には全員が「上手い・下手」という基準で描く必要はないと思います。成績をつけるためには何か基準が必要なので、学校側の対応も理解できます。ただ、美術の根本には「自己表現」があると思うので、性格も違う、好きなものも嫌いなものも違う人間を集めて「みんな同じ発想をしろ」「みんな同じ表現を好きになれ」というのはなかなか無理があると思います。

――確かにそうかもしれませんね。

【96こげ】好きなものを勝手に描いてもらって、描けなくて困っている部分があれば、簡単に表現できる方法をアドバイスするくらいが良いと思います。ただ、これだと個別指導になるのでやっぱり学校教育では難しい。「苦手なことはダメなことじゃないよ」と説明するのが一番良いのかもしれません。「描けないこと」は劣等感を感じるようなことでは無いです。身長の違いみたいなもので、個性の一つと捉える程度で良いと思います。別に描けなくても死ぬわけではないですからね。

――なるほど。では、苦手な方にアドバイスするとしたらなんと声をかけますか?

【96こげ】絵を描くのが苦手という人にアドバイスするとしたら、「絶対にお手本を見て描いてください」ですね。描くことに必要なのは想像力や発想力と言ったクリエイティブな能力だと思われがちですが、実際に動作としてやっていることは文字を書くのと同じだと思います。国語の授業を思い出してほしいのですが、新しい漢字を覚えるときは「なぞって書く」「見て書く」「見ないで書く」とやって、たくさんの漢字を覚えたはずです。絵が上手く描けない原因のほとんどは「見ないで描く」からです。覚えていないものをいくらイメージしても描けません。そして、ただ見ているだけじゃ覚えられません。漢字の書き取りと同じくらい、覚えるためには繰り返し描く必要があります。

――96こげさんの今後の抱負、目標は?

【96こげ】今後は「興味を持ってもらう講座」と「成長してもらう講座」の2つに分けてやっていきたいと思います。楽しくて続けていると、「もっと上手くなりたい」「もっと成長したい」と考えるのは自然な流れだと思うので、そういう人たちにアプローチして、「みんなが成長できる講座」を作っていきたいと考えています。

――それは、楽しみですね。

【96こげ】実際に添削企画をしたら、本当にたくさんの応募がありました。それだけみんなが「成長するための情報」を必要としていることだと思います。「みんなが成長できる講座」を作る過程でわたしにも予想外のメリットがありました。それは、講座のために調べて勉強しているとわたし自身も成長できるということです。あまりにも知らないことが多すぎて、調べるたびに驚きと発見の連続です。新しい情報、良い情報を知るとみんなに広めたくなって講座が描きたくなります。講座を続けることで「みんなも成長できて、わたしも成長できる」こんなうれしいサイクルはなかなか無いと思うので、今からとてもワクワクしています。