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初日から10万超え、“1いいね”で成長する赤ちゃん漫画の作者語る「親の気持ち想像しました」

 イラストレーター・おおのたろうさん(@OONO_TARO_B)がツイッターで開始した読者連動投稿『1いいねにつき1日成長する赤ちゃん』。赤ちゃん誕生のイラストには最終的に29.7万という膨大ないいねがつき、おじいちゃんになるまでを描くことに。主人公だけでなく、味わいのある家族や友達のストーリーも登場し、どんどんファンを増やしていったおおのさん。7月23日には実弟が編集をを行ない“1いいね赤ちゃん”が書籍として発売。約2ヵ月半投稿し続けた漫画の裏側や、読者への思いを聞いた。

【イラスト】最大いいね数28.9万分の人生…誕生から30歳までをイッキ見! 淡島くんやヒシ潟先生などサブキャラとのサイドストーリーも

■TLで見かけた企画に便乗…365いいねごとに誕生日が訪れる赤ちゃん

――今や大人気となった“1いいね赤ちゃん”ですが、Twitterで描き始めたきっかけを教えてください。

【おおのたろう】3月から4月あたりにTwitterでは「1いいねごとに〇〇する」企画が作家さんの間で流行っていました。そこで、自分も何かやってみようかなと思い、僕がずっと作品のモチーフにしていた“赤ちゃん”を使って、その時に思いついた「1いいねにつき1日成長するあかちゃん」として投稿しました。

――初日で10万を超えるいいね、その後も日に日に反響が大きくなっていましたね。描き進める上でどう感じていましたか?

【おおのたろう】とにかく、描くと言った以上中途半端なものにはしたくないという気持ちがありました。コロナで自粛生活がはじまり、暗く落ち込んでいる人も多い時期でしたので。少しでも見てくださる方の楽しみになれたらという思いもありました。

――ほぼ毎日投稿されていたので、更新が楽しみだった読者も多いと思います。

【おおのたろう】何より、僕自身が作品を描く機会を頂けたことで、この期間に物語と向き合う時間ができたり、「最後まで描く」という目標ができたことで救われました。

――読者からの反響がご自身の励みにもなったんですね。1日(コマ)ずつ描き進める上で、心がけていたことやこだわりはありますか?

【おおのたろう】主人公が今のものより大変な目にあってしまうエピソードも考えていましたが、「読んでいる瞬間くらいは現実世界のことを忘れてほしい」と思い、暗くなってしまうものはできる限り描かないようにしました。そのおかげで、時代の状況よりも主人公の気持ちや人間関係に重点を置いて描けたので良かったと思っています。

■どんどんいいねが膨らみ…自分の年齢以降の人生がイメージできなかった――たろうさんは一児の父ということですが、コマを進める上で、お子さんの成長と主人公を重ね合わせることはありましたか? それともご自身の体験を描いたのでしょうか?

【おおのたろう】幼い主人公には自身の子どもと共通する部分を描いたり、自分の幼い頃の記憶だったり、親の気持ちを想像しました。

――ご自身の年齢以降のことはどのように描き進めたのでしょう?

【おおのたろう】最初の段階では30代以降のイメージが全然出てきませんでした。しかし、描いていると不思議なもので1年1年主人公が年を重ねてその年ごとに考えや行動も変わり、僕もイメージを掴めました。

――主人公になりきっているようですね。

【おおのたろう】40代以降の生き方の参考にしたのは、時に僕の親であったり祖父母であったり、その年代の友人や知人の姿、僕が見聞きしたりであったりした経験が全部混ざり合ってできていると思います。

――最終話の構想はスタート当初からありましたか。

【おおのたろう】初日から無計画で始めたので、最終話の構想も無く毎回毎回アドリブのように描いていきました。描いているうちにどんどんいいね数が膨らみ……。膨大ないいね数と年齢について自分なりの解釈をして割と早い段階で終わり方を決めました。

――主人公が94歳の大往生で亡くなり感動の最終回かと思ったら、+700年後の物語がありましたね! 中盤で出てきた伏線が回収されていて驚いた読者も多かったようです。

【おおのたろう】人間の寿命はすっかり超えてしまっていたので、何かを考えなければと思い…。

――毎回、たくさんコメントがついていました。

【おおのたろう】お子様がいる方々、お孫さんがいるお方まで幅広い年齢の方々から コメントやDMで感想を頂きました。その中でも今まで僕のフォロワーさんにはいなかった10代の方々からのメッセージや感想が沢山来て驚きました。

――印象に残ったコメントは?

【おおのたろう】「これから先の人生を考えて悩んでいましたが、作品を読んで考え方が変わった」というようなものや、「親をもっと大切にしたいと思った」など、そういったメッセージを頂きました。(誰かの)何か良いきっかけになっていもらえていることがとても嬉しいです。

■長年の目標を実弟と1冊に 「荒い部分も直しの利かない人生みたい」――Twitterがバズったことで出版のオファーが殺到したそうですが、書籍化の話を聞いた時の感想を教えてください。

【おおのたろう】自分のオリジナルの本を出すということは長年の目標でしたし、この作品を1冊の本にできる機会を頂けたことはとても嬉しかったです。

――書籍には描きおろしも収録されていますね。Twitterの投稿と変わっている箇所もあるのでしょうか?

【おおのたろう】荒い部分も直しの利かない人生みたいで、この作品の良さだと思っている絵の勢いは残しつつ、細部を綺麗に仕上げました。毎回エピソードが色々浮かんでどれを描こうか? と迷うこともあったのですが、終わった後にやっぱりこっちがいい、というものは1話まるまる別の話になっているものもあります。

――まるっとエピソードが変わったページがあるのですね! 楽しみです。

【おおのたろう】Twitterではその日その日ですぐに作品は消費されてしまいますが、本は今の読者の方や何年か先の読者の方がいると想定して、今だけしかない通用しない表現をなるべく避けて置き換えたりしました。

――弟さんが本の編集を担当しているとお聞きしました。弟さんとはどのような話をしましたか?

【おおのたろう】作り手と編集、普段はそれぞれの分野で関わらないようなところまで、意見を話し合い一冊の本としてしっかり納得して作ることができたと思います。弟から特に感想は聞いていません……(笑)。

――本の装丁についてもこだわりがあるとか?

【おおのたろう】弟が提案してくれた方が偶然僕も前から好きだった福島よし恵さんで、この本の装丁からすべてのデザインに関わっていただきました。この3人で制作したからこその一冊になっていると思います。

■「ささやかでも良い変化を」大切な人へ贈りたい1冊

――出版社の紹介ページには「お子さんや大切な方へのプレゼントにおすすめ」とありますが?

【おおのたろう】プレゼントは、実際いただいた感想の中に「自分の子どもに贈ります」「恋人や家族、友人に贈ります」というメッセージを多くの方から寄せられて、この作品の1つのありかたとしてより多くの方に喜んでもらえるのではと思っております。

――自分のためだけでなく、大切な人にも読んでもらいたいと感じさせる本になりそうですね。

【おおのたろう】この作品が贈り物として選んでいただけるものになるとは思っていなかったのでとても嬉しいです。

――手に取った人にどんな気持ちになったほしいですか?

【おおのたろう】読んでくださった方が少しでも楽しい気持ちになったり、読む前と後でささやかでも良い変化を与えられたり…そんな作品になれたら嬉しいです。

――イラストレーターとして活躍中のたろうさんですが、今後取り組んでみたいことはありますか。

【おおのたろう】今回、物語を描いてとても楽しかったので、今後も何か続き物を描きたいと思いました。毎年、新しいことに挑戦した結果、自信を前進させてくれているのでどんどん新しいことに挑戦していきたいと思います。現在、展示などがなかなかできない状況ではありますが、また個展などもしてきたいです。